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膜透過ペプチドとAIを用いた「ライブセルイメージングシステム」の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24K08630
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
研究機関新潟大学

研究代表者

奥田 明子 (田所明子)  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60454584)

研究分担者 奥田 修二郎  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00512310)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード膜透過ペプチド / AI / 抗体 / ドラッグデリバリーシステム / ライブセルイメージング
研究開始時の研究の概要

免疫組織化学法を生細胞で行うことができれば、タンパク質の挙動や修飾の様子をリアルタイムで検知することができる。この手法が確立されれば、細胞生物学だけではなく創薬や病態解明など幅広い分野での活用が期待される。応募者らが開発した膜透過ペプチドPas2r12は、EGFP(26 kDa)やIgG(150 kDa)などのカーゴタンパク質を、カベオラ依存性エンドサイトーシスを介してサイトゾルへと導入できる。本研究では、「抗体デリバリーシステム」とさらに「AIによる非結合抗体シグナルの除去」を行い、「免疫組織化学-ライブセルイメージングシステム」の構築を目指す。

研究実績の概要

本研究では、改変型膜透過ペプチドPas2r12を用いた抗体デリバリー技術を活用し、生きた細胞内に蛍光標識抗体を導入することで、細胞内タンパク質の可視化を可能にする「免疫組織化学-ライブセルイメージングシステム」の確立を目指した。この技術は、従来の固定・透過処理を施した細胞を用いた免疫染色とは異なり、生細胞の生理的状態を維持したまま、細胞内でタンパク質の局在や動態を観察できる点で大きな利点を有しており、基礎生物学のみならず創薬スクリーニング等への応用にも高い期待が寄せられている。
本研究では、まずPas2r12によって蛍光標識抗体を生細胞内へ導入することに成功した。次に、非特異的に細胞内に残存する未結合抗体による背景ノイズを低減するため、AI画像解析技術を活用してノイズを除去するという新たなアプローチを組み合わせることで、より高精度な可視化を実現する試みを行った。しかしながら、導入された抗体が細胞内で標的抗原に実際に結合する効率が極めて低いことが判明した。詳細な実験と解析により、導入された抗体は細胞内でまずエンドソームに取り込まれ、その後、エンドソーム内の還元環境によってジスルフィド結合などの構造変化を受け、構造的に不安定化し、サイトゾルに移行しても抗原認識能を失っている可能性が示唆された。
この知見は、生細胞における抗体利用の困難さや限界を明確にしたという点で、技術開発上非常に重要な意義を持つ。すなわち、固定細胞では有効であっても、生細胞というより複雑かつ動的な環境下においては抗体の機能保持が難しいことが明らかになった。今後の課題としては、まず生細胞内においても抗原認識能を保持できる抗体のスクリーニングを進めるとともに、抗体に代わる新規ラベル分子の導入・可視化手法の開発を検討する。

現在までの達成度
現在までの達成度

4: 遅れている

理由

本研究では、細胞内タンパク質のライブセルイメージングを目的として、Pas2r12を用いた蛍光標識抗体の生細胞内導入の実用性を検証してきた。具体的には、ミトコンドリア外膜に存在するトランスロカーゼTOMM40および細胞骨格構成因子であるβ-actinを標的とし、それらを認識する抗体に蛍光ラベルを付加した上で、HEK293細胞(ヒト胎児腎由来細胞株)へと導入した。導入効率の評価の結果、両抗体ともにサイトゾルへの導入率は約15%と確認された。
導入後、抗体が標的タンパク質に実際に結合しているかを確認するために、各導入細胞を固定・膜透過処理し、遊離抗体を除去した後、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行った。しかし、いずれの条件においても、TOMM40およびβ-actinへの明確な抗体の結合シグナルは確認されなかった。
この結果を受け、導入された抗体が細胞内で機能的に抗原認識を行えていない可能性が示唆された。主な原因としては、(1) 抗原を認識できる濃度あるいは状態の抗体が十分にサイトゾル内に存在していない、または、(2) 抗体が生細胞内の還元環境下においてジスルフィド結合(SS結合)などの構造的乖離を受け、抗原に対する認識能を失っている、などが考えられる。
今後は、より安定して抗原を認識できる抗体の選定や、抗体以外の分子標識法の導入方法の検討が求められる段階にある。現在は、これらの課題解決に向けた次の実験計画の立案を進めている。

今後の研究の推進方策

本研究では、Pas2r12による抗体の生細胞内導入により、ライブセルでのタンパク質可視化技術の確立を目指してきたが、従来のIgG抗体では抗原への結合が困難であることが示された。これを踏まえ、今後の研究では、より有効な標識分子の探索と導入技術の最適化を進める方針である。
まず、従来のIgG抗体に加えて、他の抗体候補についても検討を行い、生細胞内で抗原認識能を保持するものの選定を進める。また、より小型で構造的に安定なナノボディ(単一ドメイン抗体)にも注目しており、すでにPas2r12を介したナノボディのサイトゾル導入率が約50%と、IgG抗体と比較して顕著に高い導入効率を示すことを確認している。
今後は、この高導入効率のナノボディを用いて、生細胞内で実際に抗原と特異的に結合するかを評価するとともに、実験画像の収集を進める。得られた画像データをもとに、非特異的背景シグナルを除去するAIの学習セットを構築し、免疫組織化学的手法とライブセルイメージングを融合させた高精度な観察技術の確立を目指す。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Inhibition of enhanced green fluorescent protein cytosolic delivery mediated by modified cell-penetrating peptide due to high overexpression of Caveolin-12024

    • 著者名/発表者名
      Okuda Akiko、Sugai Keito、Okuda Shujiro
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 733 ページ: 150586-150586

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2024.150586

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 改変型膜透過ペプチドおよび複合体の刺激により生じるリン酸化シグナルの網羅的解析2025

    • 著者名/発表者名
      奥田明子、黒岩玲花、瀧原速仁、奥田修二郎
    • 学会等名
      第35回生物試料分析科学会年次学術集会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] インスリン様成長因子1受容体の発現量が膜透過ペプチドによるタンパク質デリバリーに与える影響2024

    • 著者名/発表者名
      須貝景斗、奥田明子
    • 学会等名
      第42回日本臨床化学会甲信越支部総会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] 改変型膜透過ペプチドとCaveolin-1との関係解析2024

    • 著者名/発表者名
      奥田明子、須貝景斗
    • 学会等名
      第76回日本細胞生物学会大会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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