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絶滅危惧種ウシモツゴの健全な個体群増加のための遺伝的多様性と適応的形質の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24K08949
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分39060:生物資源保全学関連
研究機関岐阜大学

研究代表者

向井 貴彦  岐阜大学, 地域科学部, 教授 (80377697)

研究分担者 中江 雅典  独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (30462807)
川瀬 成吾  滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (90750505)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード絶滅危惧種 / mtDNA / MIG-seq / 遺伝的多様性 / 系統保存 / 感覚系 / 運動系 / 側線系 / 感覚器
研究開始時の研究の概要

絶滅危惧種ウシモツゴの生息地はわずかしか残されておらず,危険分散のために生息地周辺の溜池やビオトープへの放流,系統保存が行われてきた.しかし,これまで導入された個体群がどの程度元の個体群の形質を維持しているのか検証されてこなかった.そこで,放流時の個体数や放流先の環境条件によって,個体群の遺伝的多様性がどの程度維持されているのかを検証する.また,近年,養殖魚は感覚器の形質が野生魚から変化し,行動も変化することが知られている.そこで,小規模なビオトープへの放流や,放流前に飼育を経た個体群などにおける形質の変化の有無を明らかにし,淡水魚の保全的導入の手法についての再検討を行う.

研究実績の概要

本研究課題においては,絶滅危惧種ウシモツゴの野生個体群と系統保存された域外保全個体群の遺伝的多様性を調査し,域外保全において遺伝的多様性がどの程度保持されているのかを明らかにすることが第一の目標である.その上で,域外保全において運動系や感覚系の形質にどのような変化が生じているのかを調査し,域外保全の方法の違い(水族館の水槽による系統保存,野外のビオトープによる系統保存,溜池への放流による系統保存)や,域外保全個体群の遺伝的多様性の程度との関係を明らかにすることを目的としている.
本年度最初の作業として,絶滅危惧種の淡水魚ウシモツゴの各生息地の現状についての再調査を行い,地理的な3系統のそれぞれについて野生個体群が維持されていることを確認した.しかし,残されていた数少ない野生生息地のうちの1地点は外来魚のブルーギルの侵入によって危機的状況にあり,記載のタイプ産地となった個体群も生息地の溜池の改修が予定されており,危機的状況となっていることが明らかになった.その一方で,これまで知られていなかった個体群を岐阜県東濃地方において発見したが,その生息地の地理的な位置や状況から,人為的な移殖に由来するものと推測された.
再調査を行った生息地の中から,形態形質の比較用の採集を行い,琵琶湖博物館によって約30年飼育下で系統保存されている個体群,岐阜県の野生個体群,愛知県三河地方の野生個体群の間での側線系の変異を観察した.その結果,ウシモツゴの体表の9の側線管と17の表在感丘群の構成要素に,飼育個体群と野生個体群に差は見られなかったが,飼育個体群の管器感丘の総数には違いが見られた.
各地域個体群の遺伝的差異については,これまでにmtDNA全塩基配列による系統解析を実施しており,本年度はそれらのサンプルを用いてMIG-seq解析を実施した.

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の目標は,①ウシモツゴの野生個体群と系統保存された域外保全個体群の遺伝的多様性の比較解析,②域外保全個体群の運動系や感覚系の形質が野生個体群に比べて変化しているかどうかの検証,③域外保全の手法や遺伝的多様性の減少の程度と形質の変化の関係を明らかにすること,の3つである.
現在のところ,初年度が終わった段階であり,これまでmtDNAでは明らかにできなかった野生個体群と域外保全個体群の遺伝的多様性比較のためのMIG-seq解析を行った.データはすでに得られており,現在集団間の比較解析をしている.
形態形質の比較も,琵琶湖博物館による系統保存されている個体群,岐阜県の野生個体群,愛知県三河地方の野生個体群で採集を行い,予備的な比較を行った.ウシモツゴは希少な絶滅危惧種であり,分布する各県の希少種条例で保護されているために,これまで標本の保存はほとんど行われてこなかった(遺伝子解析用のサンプリングは鰭の一部のみにするなどで,個体の標本が残されていない).また,感覚系の表在感丘の観察には魚の表皮を傷つけない採集方法で捕獲した生体を観察する必要がある.そのため,形態観察については,初年度のサンプリングでは予備的な比較にとどまっている.しかし,二年目以降にサンプルを追加していくことは当初から予定しており,初年度は,実験や調査手法の確立を行うことができたことで,研究は計画通りに進んでいるといえる.

今後の研究の推進方策

2年目以降は,得られたMIG-seqのSNPデータを解析して集団間の遺伝的分化と,遺伝的多様性の評価を継続する.必要に応じて追加サンプルを採集し,特に,域外保全個体群が遺伝的多様性をどの程度保持しているのかを明らかにする.形態的な比較は,追加採集を行う.運動系に関する体型等の形態比較は,博物館標本や新たに採集した個体の標本を用いるとともに,域外保全の個体の標本も比較する.感覚系の観察は,野生個体群間での変異もあると考えられるため,複数の野生個体群と飼育下での系統保存個体群での観察を行い,淡水魚のより健全な域外保全のための手法を検討する.

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 生息域外保全での継代飼育ウシモツゴにおける側線系の変異(予報)2024

    • 著者名/発表者名
      中江雅典・川瀬成吾・向井貴彦
    • 学会等名
      2024年度日本魚類学会年会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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