2050年カーボンニュートラルの実現には炭素を長期貯蔵する高蓄積の針葉樹高齢林の機能強化が不可欠である。ただ,現在利用される林野庁の材積式では大径木の材積が過小推定される。さらにスギ高齢木の幹断面積成長量の垂直分布がプレスラー則から逸脱し, 幹下部の成長量が樹冠下の平均成長量より有意に高いことを筆者は確認した。「従来報告されてきた高齢林の材積およびその成長量は過小推定だったのでは?」という問いに基づき, 林齢100年以上のスギ高齢林を対象に,幹形や断面積成長量を正確に推定し,幹形の発達に及ぼす育林履歴や林分構造の影響を解明するとともに,スギ高齢木の新たな材積式を調製する方法論を確立する。
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