| 研究課題/領域番号 |
24K10845
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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| 研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
塚田 実郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50573276)
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| 研究分担者 |
井上 政則 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30338157)
小川 遼 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (31003767)
山本 洋輔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (61003702)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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| キーワード | 血管内皮コロニー形成細胞(ECFC) / 薬剤溶出性ステント(DES)の内皮化 / 安全性、有効性評価 / 細胞塗布ステント / 抗血栓性 / 再生医療等製品 / 生体外内皮化 |
| 研究開始時の研究の概要 |
薬剤溶出性ステント(DES)の登場によりステント留置後の再狭窄は減少したが、後期ステント血栓症が臨床的課題となっている。近年、生体医工学技術を用いて機能的な内皮細胞層を金属ステント表面に施すことにより生体適合性を改善させ、留置後早期から内皮化能を有する新たなステントを作成する研究が注目されている。もしこの技法がDES に応用されれば、DES の生体適合性が改善され、臨床的に問題となるDES 留置後の後期ステント血栓症の問題を解決しうる。 本研究はゲッチンゲン系ミニブタを使用した動物実験で細胞を塗布させたDES の抗血栓性評価を行い、再生医療等製品としての臨床的実用化に向けた橋渡し研究を行う。
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| 研究実績の概要 |
本研究は、自家末梢血より分離・培養した血管内皮コロニー形成細胞(endothelial colony-forming cell:ECFC)を薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)に塗布することで、従来のDESが抱える血栓形成リスクや生体適合性の課題を克服し、長期にわたり安全かつ良好な血管開存を維持する次世代型ステントの開発を目指すものである。令和6年度は、研究体制の再整備とともに、動物モデルによるin vivo評価系の確立およびin vitro実験による塗布条件の最適化に取り組んだ。まず、研究室移転と同時に新たな研究員1名を雇用し、ECFCの分離・培養から動物実験支援までを担う体制を構築した。続いて、ゲッチンゲン系ミニブタを用いた動物実験を3回実施した。初回は、腹部大動脈穿刺時に動脈解離が発生し、術中に心停止を来して死亡。2頭目では、両側腸骨動脈にステント留置は成功したものの、長時間の開腹操作と腸管虚血の影響により敗血症性ショックを来し、術後に死亡した。これらの教訓を踏まえ、術前管理として食餌内容を粉ミルクに切り替え、術中にはトンプソン開創器の導入、後腹膜を温存した新たな穿刺手技を採用した。これにより3頭目の実験では、術中合併症を回避し、予定通り両側腸骨動脈へのステント留置を完了し、術後も生存を確認できた。さらに術後2週間後の血管造影検査では、通常のDESが血栓により完全閉塞していたのに対し、ECFC塗布DESは軽度の内膜肥厚を認めながらも内腔は明らかに開存しており、その有効性が示唆された。また血流環境を模倣したin vitro流速モデルを構築し、塗布時間と細胞接着性の関係を検討した。循環培養液下で1時間のシェアストレス曝露を行った結果、3時間塗布では細胞接着が不十分であったのに対し、6時間塗布では高い細胞密度が保たれることが確認された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
令和6年度は、研究体制の整備、動物モデルの確立、細胞塗布技術の最適化、ならびにin vitroおよびin vivo評価の開始と、多面的に進捗が得られた点で、現時点では概ね順調に経過していると評価できる。研究体制としては、新たな研究員の雇用と研究環境の整備が完了し、安定した細胞培養系と動物実験実施体制が構築された。動物実験においては、初期2例で手技的な課題に直面したが、それぞれの失敗から術前管理や穿刺法、術野確保法などに工夫を加え、3例目においては安全かつ再現性のあるステント留置と術後生存を達成するに至った。さらに、術後2週間の血管造影では、ECFC塗布ステントの血管開存性が良好であったことから、本手法の有用性が初めてin vivoで示唆された。加えて、動脈内の血流条件を模擬したin vitro実験系を新たに構築し、細胞塗布時間と接着性の最適化を行った結果、6時間塗布が最も高い細胞密度と接着性を維持できる条件であることが明らかとなった。今後は、同条件での再現性確認や、非石灰化研磨標本による病理学的評価へと展開する予定である。以上の点から、研究は現段階において計画通り進行しており、目的達成に向けて着実に前進している。
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| 今後の研究の推進方策 |
第3回動物実験において、ECFC塗布DESを留置した腸骨動脈において術後2週間の血管造影で良好な血管開存性が確認されたことは、本手法の有用性をin vivoで初めて示唆する重要な成果であった。今後の研究では、この結果を再現性のある知見として確立するため、同一条件下での反復動物実験を複数回実施し、統計的解析に耐える症例数を確保するとともに、ステントの抗血栓性、内皮化促進能、血管反応、周囲組織への影響などを多面的に評価する。また、免疫染色・電子顕微鏡・炎症マーカー測定などを併用した組織学的検討を加えることで、ECFC塗布の生物学的意義を定量的に把握する。令和8年度(2026年度)以降は、これまでの動物実験成果を踏まえ、細胞塗布技術やステント調製プロセスについての知的財産権の取得を進め、国際学会での発表および査読付き論文としての成果公開を推進する。あわせて、医療機器開発の臨床展開に向けて、PMDAの医療機器開発相談(RS相談)を通じた試験設計・安全性基準の明確化、クラスIV医療機器としての承認取得に向けた臨床試験プロトコルの策定に着手する。
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