| 研究課題/領域番号 |
24K10890
|
| 研究種目 |
基盤研究(C)
|
| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石神 康生 九州大学, 医学研究院, 教授 (10403916)
|
| 研究分担者 |
岡本 大佑 九州大学, 大学病院, 助教 (00730607)
石松 慶祐 九州大学, 医学研究院, 助教 (20800147)
糸山 昌宏 九州大学, 大学病院, 医員 (20963101)
藤田 展宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30610612)
牛島 泰宏 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40432934)
藤森 尚 九州大学, 大学病院, 講師 (60808137)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
| キーワード | Dual energy CT / 線維化 / 細胞外液量 / 膵 / 腫瘍 / 膵疾患 / バイオマーカー / 鑑別診断 |
| 研究開始時の研究の概要 |
深部臓器である膵の硬さを体外から測定することは困難とされ、膵の硬さを体外から計測する手法は確立されていない。慢性膵炎は膵実質の脱落・線維化が生じる不可逆的な病態であるが、早期慢性膵炎の段階で膵の硬化・線維化がすでに生じているとされる。 本研究では、臨床で広く普及しているCTを用いて膵の硬さ(線維化)を測定し病態解析を行う。膵の線維化は細胞外スペースの増加に反映されるので、dual energy CTで測定される細胞外液量から膵線維化を推定し、早期慢性膵炎の低侵襲的な診断法を確立する。この研究は、膵内分泌機能・外分泌機能のバイオマーカーや癌の悪性度診断、術後合併症の予測などへの応用が期待できる。
|
| 研究実績の概要 |
造影CTを利用した膵臓の細胞外液量の定量的評価から、膵疾患の質的診断への新たな指標を見出していくことが本研究の目的である。今年度は2つの予備検討に着手した。 ①膵神経内分泌腫瘍(pNEN)の悪性度判定における、spectral CTで測定した細胞外液量(ECV)を含むCT画像の有用性を評価:pNEN患者45例(Grade1[G1]、n=28;Grade2[G2]、n=17)を登録した。平衡相で腫瘍と大動脈のヨード濃度を測定し、腫瘍のECVを算出した。画像解析には、腫瘍径、腫瘍辺縁の性状、膵実質相および遅延相における増強パターン、不均一増強の有無、石灰化、嚢胞部、主膵管拡張などを含めた。定量的および定性的評価と腫瘍悪性度との相関は、Mann-Whitney U検定およびFisherの正確検定を用いて評価した。G2を予測するための診断精度は、ROC曲線分析を用いて評価した。検討の結果、腫瘍ECVはG1群よりG2群で有意に低かった(p=0.0045)。その他のCT画像所見はG1群とG2群で有意差はなかった。G2の同定に最適なカットオフ値はECVで41.6%であり、感度と特異度はそれぞれ82.3%と67.9%であった。CT所見のうち、ECVのみがG1群とG2群で有意差を示した。ECVは、G1/G2病変であってもpNENの腫瘍悪性度の同定に有用な画像バイオマーカーと考えられた。 ②膵漿液性腫瘍(SC)と膵神経内分泌腫瘍(pNEN)の細胞外液量による鑑別:solid typeのSCとpNENはいずれも多血性腫瘍である。SCのほとんどが良性疾患であるのに対し、pNENの多くはは外科的切除などの治療を必要とする。spectral CTで測定したECVが鑑別に有用か検討したところ、pNENのECVはsolid type SCよりも有意に高値となることが分かった。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
spectral CTによる細胞外液量(ECV)計測を行い、膵疾患における有用性の検討を行ったところ、当初の仮説と概ね同様の結果が得られている。データ解析も問題なく行う事ができ、研究結果の一つを国内学会で発表し、今後の研究遂行の上でも有用な討議、情報収集を行う事もできた。また、二つ目の研究でも予備的な検証で想定通りの結果を得ることができた。症例数も十分であり、定性的評価や読影者間の一致率など更なる検討を加えて国内外の学会での発表にもさほど時間を要さないと思われる。 次に早期慢性膵炎、慢性膵炎でECV計測や膵の容積計測などを行う三つ目の検討を行う予定である。症例のリクルートがまだ不十分であるが、これまで二つの研究で手法自体には十分な感触を得ている。 研究遂行の上で予期せぬ事態が生じた場合は、2つの研究課題の論文化を優先させるが、三つ目の研究項目についても症例のリクルート方法等を再考することで、研究遂行が可能ではないかと考えている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
研究①の結果に関しては2025年4月に開催された日本医学放射線学会総会にて発表を行った。今後は論文執筆を進めて、英文誌への投稿を行う予定である。 研究②については更に検討を進めて今年度中に国内もしくは海外の学会で発表し、英文誌への投稿まで行うことを目標にしている。更なる検討として、病理所見の再検討、画像評価の評価者間での一致率の検討、画像の定性的評価の診断精度との比較等を行うこととする。 早期慢性膵炎のECVによる評価については、spectral CTでのダイナミックCT施行症例のリクルートを進めて、コントロール群との比較検討を研究①、②と同様の手法で行っていく。spectral CTで膵のダイナミックCTを行った症例の症例数を十分にリクルートできるかが今後の研究遂行上の課題である。早期慢性膵炎の症例でspectral CTでないCTでダイナミックCTを施行した症例はある程度の症例数が見込めるので、ヨードマップからでなく、単純CTと遅延相からECVの定量的評価を試みることは可能である。 もう一つの研究遂行上の課題は、コントロール群あるいは比較対照群の設定と症例リクルートである。現在のところ正常群、慢性膵炎群のそれぞれで症例リクルートを行う事を考えている。spectral CTでのダイナミックCT施行例が十分にない場合、同様に単純CTと遅延相からECVの定量的評価を行うこととする。また、コントロール群の設定が困難と判断される場合には、早期慢性膵炎診断確定群における長期経過例でのECVの経時的変化および膵容積の経時的変化を同一症例で比較し、早期慢性膵炎から慢性膵炎への進行が画像的あるいは臨床的にどのくらいの割合で発生しているのか、長期経過にも関わらず概ね変化のない症例があるのかなどを検討できるように研究デザインを組みなおすことも考慮していきたい。
|