| 研究課題/領域番号 |
24K12533
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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| 研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10534604)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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| キーワード | 子宮筋腫 / MED12変異 / 異種移植モデル / 女性ホルモン依存性 / シングルセル解析 |
| 研究開始時の研究の概要 |
近年の晩婚化に伴い子宮筋腫の治療には子宮温存が可能な薬剤療法の需要が高まっているが,認可されている女性ホルモン分泌を抑制する薬剤の効果には個人差がある。子宮筋腫にはMED12変異の有無により組織構成が異なる2つのサブタイプがある。我々は筋腫サブタイプにおける女性ホルモン感受性を検討した過程で,変異を持たないMED12(-)筋腫では約3割が女性ホルモンに依存せず発育することを見出した。この女性ホルモン非依存的筋腫の病態の解明は,薬剤効果の個人差の一因を明らかにし,さらに女性ホルモンを介さない新規薬剤の開発に繋がる可能性がある。そこで,本研究ではシングルセル解析によりこの筋腫の病態の解明を目指す。
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| 研究実績の概要 |
近年の晩婚化等により子宮筋腫の治療には子宮温存が可能な薬剤療法の需要が高まっているが,女性ホルモン分泌を抑制する治療薬の効果には個人差がある。子宮筋腫にはMED12変異の有無により組織構成が異なる2つのサブタイプがある。我々はこれまでに,筋腫細胞を重度免疫不全マウスに移植する異種移植モデルを用いて,女性ホルモン感受性を検討したところ,変異を持たないMED12(-)筋腫では約3割の検体はエストロゲン(E)・プロゲステロン(P)がなくても発育することが判明した。この結果は,女性ホルモン依存的疾患とされる子宮筋腫に,女性ホルモン非依存的な検体が1割程度含まれることを示している。また,この女性ホルモン非依存筋腫(非依存筋腫)は既存の治療薬は無効と予想されるため,その病態の解明は,薬効の個人差の一因を明らかにし,女性ホルモンを介さない薬剤の開発に繋がる可能性がある。 本研究では,子宮筋腫の研究分野で,最も生体を反映する異種移植モデルを用いて非依存筋腫を同定し「I)異種移植モデルを用いた女性ホルモン非依存筋腫検体の同定」,同定した非依存筋腫についてシングルセル解析により通常の女性ホルモン依存的な筋腫と比較することで,細胞構成および細胞間相互作用における特異性を明らかにする「Ⅱ) 同定した女性ホルモン非依存筋腫検体におけるシングルセル解析」。 【令和6年度】項目I;異種移植モデルは既に確立したが,MED12(-)筋腫の検体数が少なかったこともあり,非依存筋腫検体が同定できなかった。項目Ⅱ;これまで,子宮筋腫検体におけるシングルセル解析において,新鮮組織から単一細胞に分散する細胞調整が困難であり,解析結果が生体を反映しないという問題があった。今年度は,固定組織を用いた分散法(FLEX法)を検討することで,子宮筋腫検体の細胞調整法を確立した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
I)異種移植モデルを用いた女性ホルモン非依存筋腫検体の同定:子宮筋腫における女性ホルモン関連の研究において,唯一の有効な実験系である異種移植モデルを用いて非依存筋腫検体の同定を行う。MED12変異の有無を判定した子宮筋腫を初代培養し,重度免疫不全マウスの腎被膜下に8週間移植した。移植後4週間は週一でE・P デポーを投与し,5週目以降はE・P投与を継続するE(+)P(+)群と投与を中止するE(-)P(-)群に分け,8週で移植腎臓を回収した。E(+)P(+)と比較してE(-)P(-)の腫瘤体積が同程度(体積比が90%以上)の検体を非依存筋腫と定義した。先行実験の結果から,10検体の移植で非依存筋腫を3検体は得られると見積もっていたが,今年度は,他の研究課題との兼ね合いもあり,MED12(-)筋腫の移植は2回行えたのみで,いずれも非依存筋腫ではなかった。令和7年度は本課題に優先的に検体を提供していただくよう調整している。 Ⅱ)同定した女性ホルモン非依存筋腫検体におけるシングルセル解析;目的の非依存筋腫の解析は行えなかったが,シングルセル解析における細胞調整法の確立という技術的な進展はあった。一般に組織検体のシングルセル解析では,新鮮組織を単一細胞に分散して用いるが,子宮筋腫は膠原線維に富むため,酵素処理による一般的な方法での分散は困難だった。実際,他の研究グループによる先行論文で子宮筋腫のシングルセル解析が報告されているが,組織分散の不備により平滑筋細胞と線維芽細胞がほとんど検出されず,生体が反映されていなかった。そこで,近年開発された固定した組織を用いた分散法(FLEX法)を検討した。このFLEX法で調整した子宮筋腫検体をシングルセル解析に供したところ,生体の細胞構成を反映したRNA-seqデータが得られた。
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| 今後の研究の推進方策 |
I)異種移植モデルを用いた女性ホルモン非依存筋腫検体の同定:異種移植モデルは既に確立しているので,解析の検体数を増やして,非依存筋腫検体を同定する。本研究には治療薬の投与を行っていない患者からの子宮筋腫検体を使用する必要があるが,令和6年度には他の研究課題で治療薬の効果を検討していたため,本学の附属病院で採取できる検体において,治療薬非投与検体の頻度が少なかった。治療薬効果の研究課題に目途がついたこともあり,令和7年度は,非投与検体の頻度を増やしていただくように調整した。出来れば,MED12(-)筋腫を10検体以上移植することで,令和7年度中に非依存筋腫3検体を採取したい。 Ⅱ)同定した女性ホルモン非依存筋腫検体におけるシングルセル解析;目的の非依存筋腫が同定できさえすれば,シングルセル解析は問題なく遂行できると考えている。加えて,シングルセル解析の対象を当初の研究方針から,変更することにした。本研究における異種移植モデルで再構成される腫瘤には,移植したヒトの平滑筋細胞や線維芽細胞の他に,マウスの免疫細胞や血管内皮細胞等が含まれると予想される。FLEX法によるシングルセル解析では,その原理上,解析はヒトかマウスのどちらかに限定されるため,全ての構成細胞におけるRNA-seqデータは得ることができない。そのため,細胞間相互作用の解析においては細胞種が限定され,不完全なものになり,また,シングルセル解析の精度が充分であるかの判断が難しくなる。そこで,当初は非依存筋腫として同定された異種移植腫瘤そのものを対象にシングルセル解析を行う予定であったが,まずは,非依存筋腫として同定された元の筋腫検体について解析する方針に変更した。
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