| 研究課題/領域番号 |
24K15315
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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| 研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山口 真弘 長崎大学, 総合生産科学研究科(環境科学系), 准教授 (60736338)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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| キーワード | 微小粒子状物質(PM2.5) / 植物影響 / 曝露チャンバー / HEPAフィルター / PM2.5の葉面沈着量 / 野外環境 / PM2.5 / 降雨 |
| 研究開始時の研究の概要 |
微小粒子状物質(PM2.5)は植物の葉に沈着することでその植物影響を発現する。植物影響の程度は葉のPM2.5の沈着量に左右される。PM2.5の植物影響を報告している研究では降雨が遮断される温室等で曝露実験が行われている。しかし野外では降雨によって葉のPM2.5は洗い流されるため、そのような曝露実験では野外でのPM2.5の植物影響を評価できない。本研究ではまず、雨に晒される野外で植物にPM2.5を曝露し、植物の成長や光合成などに対する野外環境でのPM2.5の影響とその植物種間差を明らかにする。そして降雨を遮断する処理区も設けることで、降雨による洗い流しがその植物影響を変化させるかを明らかにする。
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| 研究実績の概要 |
2024年度は、野外環境で植物にPM2.5を曝露するチャンバーの構築とPM2.5を除去するためのHEPAフィルターの検討を行った。 チャンバーの構造はこれまで大気汚染物質の植物影響評価に数多く利用されてきたオープントップチャンバーと同様とした。構築数は実験データの信頼性を十分確保しつつ、配分額に応じた規模である12基とした。それらのうちの2基にはPM2.5濃度測定機を1台ずつ設置し、HEPAフィルターによる除去率の算出に用いた。2台の測定機のPM2.5の測定値を補正するための並行試験は2024年12月1日~6日に実施し、補正式を得た(PM2.5の濃度範囲は2~38 μg/m3)。 植物に対するPM2.5の影響を調べるためには、野外空気からPM2.5を除去する適切なフィルターを用いる必要がある。そこで、事前に選定していたA社のHEPAフィルターをチャンバーに装着し、PM2.5の除去率を検討した。その結果、除去率は平均で45%であり、想定よりも低かった(2024年12月6日~17日, 野外のPM2.5濃度の範囲は1~17 μg/m3)。そこで、B社のHEPAフィルターを購入して除去率を検討した結果、平均で76%であった(2025年1月16日~21日, 野外のPM2.5濃度の範囲は3~35 μg/m3)。2024年12月19日~2025年1月6日に行った両者を同時に比較した試験でのチャンバー内の平均PM2.5濃度は、A社のフィルターでは2.7 μg/m3(最高値は24 μg/m3)であったが、B社のそれではその半分以下である1.1 μg/m3(最高値は11 μg/m3)であった。これらの結果から、B社のHEPAフィルターを装着することでチャンバー内のPM2.5濃度を十分低減させることができ、野外環境における植物に対するPM2.5の影響を明らかにすることができると考えられた。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
野外環境で植物にPM2.5を曝露するチャンバーの構築は予定通り終わったが、事前に選定していたHEPAフィルターの除去率が想定よりも低く、他のフィルターの検討もする必要が生じ、当初は予定よりやや遅れている状況であった。一方、実績の概要に記載した通り、他のHEPAフィルターの検討を終え、そのフィルターを用いることでチャンバー内のPM2.5濃度を十分低減させることができたため、すでに植物に対するPM2.5の曝露試験を実施可能な状態である。降雨遮断装置は雨天時にチャンバー上部に傘を設置するだけであるため、今年度は当初よりもやや遅れたものの、今後予定している曝露実験は概ね計画通りに実施できると考えられる。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、植物に対するPM2.5の影響を調べるために、温室での曝露実験での報告例のあるコマツナとソラマメを対象とした曝露実験を行う予定である(2025年5~10月)。また、常緑広葉樹を対象とした曝露実験を2025年11月から開始する。落葉広葉樹を対象とした実験は2026年度に実施予定である(チャンバー内で同時に複数樹種栽培して並行して曝露実験を行う)。曝露実験期間中は、葉の純光合成速度などの生理機能や、気孔コンダクタンスや蒸散速度などの水分収支に関わる項目を測定し、曝露実験終了時には植物体の乾重量(成長量)と葉面に沈着したPM2.5(ブラックカーボン)の量を測定する。これらの測定により、植物の成長や生理機能に対するPM2.5の影響とその影響におよぼす降雨による洗い流しの緩和作用およびそれらの植物種間差を解明していく予定である。
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