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タイ国第三期高齢政策のもとでのケアと老いの様態―生産と積徳、自律と依存のはざまで

研究課題

研究課題/領域番号 24K15432
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関京都大学

研究代表者

速水 洋子  京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (60283660)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードタイ / 高齢社会 / ケア / 政策 / コミュニティ / 家族 / 老いの文化 / 高齢者をめぐる政策
研究開始時の研究の概要

高齢化が進むタイで、2023年から施行された第三期高齢者行動計画について、その経緯・背景や考え方を踏まえ、現場においてどのような具体的な施策が実行されているのかを検証し、それにともなって老いを生きる高齢者自身やケアを担う人々の実践や役割、それらに関わる規範や期待がどの様に変化しているのかを明らかにする。すなわち政策と実行、当事者の経験についてリアルタイムで追究し総合的に理解することで、現在のタイの高齢化の様態、およびそれを行政や社会そして当事者の対応を検証し、政治・社会・経済的に変動するタイ社会における高齢者とケアの位置付け、タイにおける老いの文化の動態を提示する。

研究実績の概要

本研究は高齢化が進むタイで、2023年から施行された第三期高齢者行動計画(2023-2037)について、①その経緯・背景や考え方を踏まえ、②現場においてどのような具体的な施策が実行されているのかを検証し、③それにともなってあるいはその間に老いを生きる高齢者自身やケアを担う人々の実践や役割、それらに関わる規範や期待がどの様に変化しているのか、を明らかにすることである。初年度は、特に第三次計画の背景となる考え方や経緯、現状認識があったのかを理解することを主たる目的とした。タイは2000年代から高齢化が急速に進み、現在では2050年代に迎える「超高齢社会」にいかに備えるかが広く共有された社会課題となってきており、それがどのような社会認識や施策と実践につながっているかを、自治体レベルの実態からみていく。
初年度は、まず7月の日本タイ学会において共通論題「タイの高齢社会」を共催し、タイからマヒドン大学のKwanchit Sasiwongsaroj先生と、タイにおいて高齢者ケアのための自治体ネットワークの形成をサポートする日本のNGO主宰者奥井利幸氏を招き、現状のタイにおける政策の動向と現場の実践、人々の特に家族とコミュニテイを中心とするケアに関する考え方と実践の変化について議論をする機会を得た。
その後7月と8月には現地に赴き、チェンマイ及びバンコクにて視察・聞き取りの調査を実施した。第二次計画の実施当時に訪ねた自治体や施設、寺院などを再訪し、その後、現場でどの様に実践の変化がみられるのかを検証する機会となった。バンコクでは、保健省や、複数のコミュニテイで高齢者センターなどを訪ねて現状について話を聞く機会をもった。
12月の東南アジア学会では、ダブル・パネルを組み、特に宗教組織や宗教実践が高齢者の生活にどの様に関与しているかをタイを含む上座仏教圏について発表し討議する機会をもった。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の今年は、まず第三次高齢者計画の特徴を押さえた上で、現地で聞き取りや観察を実施した。特にコロナ禍前の2016-2017年、第二次高齢者計画の後期に訪れた調査地を再訪し、この間どのような変化があったかを確認することができた。
8月には、バンコクで保健省を訪ねる機会があり、特に高齢期を健康に過ごすための施について聞くことができた。またチェンマイも含め、社会開発人間の安全保障省のコミュニテイ高齢者センターを複数訪ねた。上からの施策に対して現場でどの様に実践が変化しているかを聞き取りした。またチェンマイでは、前回の調査地での在宅ケアのシステムがこの7-8年で変化していることがわかった。日中家族が働きに出ているあいだ、あるいは独居の場合に、要介護の高齢者をケアするための自治体をあげての取組が国の施策として強化されている。ただしこれまでの村落保健ボランティアをモデルとしつつこれを少し高度化(研修による知識や技術、給与面、増員など)したものの、実際に身体的な介護に携わることはあまりない点はあまり変わっておらず、システムを運営している自治体職員自身が不十分であると感じている。一方、介護に至らない高齢者についてはコミュニテイの役割は従来通りに見られ、現状では、要介護にならないためのリハビリ施設などの整備が進められている。
国立の高齢者施設では、コロナ期に集団生活をどのように乗り切ったかを聞き取りできたのは貴重な成果だったが、8年前の調査時と比して定員数が減らされていることを考えると、全国に12しかないこのような高齢者の養護施設が今どのように位置づけられているのかは確認する必要がある。
第三次計画には、第二次で強調された家族・コミュニテイによるケアに限定せず、私企業や市民団体、宗教などタイ社会の関与が期待されている。宗教組織による高齢者ケアの試みについては、いくつか訪問することができた。

今後の研究の推進方策

二年度めは、初年度に十分カバーできなかったところを更なる調査によって明らかにする。第三次高齢者計画は、タイ社会が総力を挙げて超高齢社会に向けて準備をするというなかで、これまでの家族とコミュニティに限らず、私企業などの民間セクターの参画をも求めている。
こうしたことから、第一に民間セクターの参画について調査する。2017年の調査当時、民間の高齢者施設は大小さまざまな規模、次々と創設されていたが、顧客はほとんどが中上流層以上であり、政府の統制はほとんどないまま、商業施設として登録されていた。その後少しずつアクセスしやすいものが増え、更に2021年の保健省省令により同省の許可と登録なしでは、営業できないこととなった。こうした制度的な整備が進む一方で、実際の施設について虐待の事例がマスコミで取りざたされるなど、その運営について疑問が付されてきた。施設の多様性、運営の実態や、一般市民の受け止め方について調査する。
第二に、宗教施設である。初年度若干端緒についたところだが、寺院におけるリハビリ施設や高齢者の居場所を用意する事例が散見されている。多くの場合、特定の僧侶の創意によってはじめられ、持続性が必ずしも担保されない事例が多い。成功と失敗の両方の事例を調査して、宗教が果たしうる役割とそれが宗教の文脈でどのようにとらえられているのかを考察する。
そのうえで、タイにおける高齢者ケアや老いの生活が経済発展と高齢化が同時かつ急速に進展する中進国の一つの例として考察し、どの様な点が特にタイ社会や文化のダイナミクスであり、どの様な点がより普遍的に比較可能であるかを考えていく。
これらを中心に、総力を挙げての高齢者政策の広がりとその現場での実態を明らかにしていく。また、第二期と第三期を合わせてタイにおける高齢者ケアと人々の老いの生き方に関してモノグラフを書き上げて発信することも目指している。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 新倉久乃.『在日タイ女性の高齢期と脆弱性―トランスナショナルな社会空間と埋め込まれたジェンダー規範』明石書店,2024,252p.2025

    • 著者名/発表者名
      速水洋子
    • 雑誌名

      東南アジア研究

      巻: 62 号: 2 ページ: 189-192

    • DOI

      10.20495/tak.62.2_189

    • ISSN
      0563-8682, 2424-1377
    • 年月日
      2025-01-31
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] “Intersecting and Connecting Differences: studies on ethnicity, gender and aging”2024

    • 著者名/発表者名
      Hayami, Yoko
    • 学会等名
      Chiangmai University Division of Social Sciences Anthropology Seminar
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「上座仏教社会における高齢者のウェルビーイングと宗教実践:女性高齢者の仏教実践とその多様性」2024

    • 著者名/発表者名
      速水洋子・木曽恵子・高橋美和・飯國有佳子
    • 学会等名
      第106回 東南アジア学会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] 「上座仏教社会における高齢者のウェルビーイング:功徳と自利利他」2024

    • 著者名/発表者名
      速水洋子・小林知・片岡樹・中村沙絵
    • 学会等名
      第106回 東南アジア学会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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