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日本社会へのイスラームの土着化:モスクの説教に見られる多文化共生観の役割と影響

研究課題

研究課題/領域番号 24K15446
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関立命館大学

研究代表者

ダヌシュマン イドリス  立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (70631919)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード非イスラーム社会のモスクの説教 / イスラームの土着化 / 多文化共生観 / モスクでの説教 / イスラームの日本社会への土着化 / ムスリムの日本社会への適応 / イスラーム思想の日本語化 / イスラームの多文化共生観
研究開始時の研究の概要

本研究では、日本におけるイスラーム・コミュニティ(IC)に焦点を当てて、日本におけるイスラーム教徒の日常生活とモスクとの関係を考察する。事例としては、日本の最古の2つのモスクである東京ジャーミーと神戸ムスリムモスク等で行われている説教に着目する。具体的には、毎週金曜日にモ行われる説教に見る共生の捉え方や在日のムスリムの社会統合への思いなどの分析を切り口に、日本におけるムスリムの日本社会への土着化の程度を明らかにする。また、米国のICにおけるモスクの説教と比較検証することで、日本のICの特徴や問題などを提示し、問題の解決案などを模索して、日本社会における多文化共生の発展に貢献することを目指す。

研究実績の概要

本研究は、日本のモスクで行われている説教に含まれる日本社会に関するイスラームの共生的思考を解明し、説教と在日ムスリムの日本社会への統合の関連性(在日ムスリムの日本社会への土着化の程度)を明らかにすることを目的とするものである。研究は、次の4つの調査項目に分けて実施する計画である:1)モスクで行われる説教の内容分析、2)日本のモスクの説教に見られる多文化共生思想の検討、3)説教の在日ムスリムの考え方や行動への影響の海外との比較、4)研究成果の公表・国際社会への発信。
これまでは、上記の1)および2)の項目に焦点を当て、日本最古の2つのモスクである東京ジャーミーと神戸ムスリムモスク、さらに近年建設された大阪茨木モスクとマスジドイスティクラル大阪において行われている説教の情報収集を進め、その内容分析にも着手している。本研究は初年度ではあるが、比較的後段で行う予定の3)と4)についても調査・報告を開始した。具体的には、3)の一環として、2月に米国ペンシルバニア州にある「リスペクト・グラデュエート・スクール(Respect Graduate School)」兼モスクを訪問・観察し、米国のイスラームコミュニティーにおける説教についても情報収集を始めたところである。また、4)の成果公表においても進展が見られた。研究計画調書に記載した通り、2024年10月13日に立教大学で開催された日本オリエント学会第66回年次大会に参加し、これまでの研究の一次的成果について報告を行った。

現在までの達成度
現在までの達成度

1: 当初の計画以上に進展している

理由

その理由は3点ほどある。
第1は、調査対象を拡大させた点である。研究初年度目の令和6年度は、東京ジャーミー、大阪茨木モスク、神戸ムスリムモスクにおいて行われている説教の現状、作成過程と特徴を明らかにすることを目指したが、対象を拡大させ、マスジドイスティクラル大阪の調査対象にした。具体的には、東京ジャーミーと神戸ムスリムモスクで行われている説教はSNSやインターネットでも公開されているため、主にネット上の情報を収集した。比較的新しいモスクである大阪茨木モスクとマスジドイスティクラル大阪については、直接十数回訪問し、説教の記録に注力した。
第2の理由は、より学術的に充実した分析を目指し、海外のムスリムコミュニティとの比較調査を前倒して実施した点である。
第3の理由は、早くも成果公表を行って点であると言える。2024年10月13日に開催された日本オリエント学会第66回年次大会において行った報告では、次の点を公表した。第1は説教の言語的多様化の確認である。調査対象のモスクの説教は、中心コミュニティの言語のみならず、日本語、英語、トルコ語およびアラビア語の4言語で行われていることが分かった。これは多様な背景を持つ信徒への配慮とコミュニティの国際性を反映していると言える。第2は神戸ムスリムモスクにおける日本人イマームの登用が観察された点である。これは、外国人ムスリムと日本人ムスリムの統合(イスラームの日本社会への土着化)の兆候として捉えることができる。
上記の初年度調査の結果を踏まえ、次年度以降は、米国のモスクにおける説教実態調査と、説教内容の比較分析を進める予定である。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、主にSNSやモスクのインターネットサイトに公開されている説教の収集と分析を行ってきたが、調査の過程で未公開の説教の存在も把握したため、今後は公開されていない説教資料の収集も進める。そのためには説教の正確な記録システムの構築とモスク側との協力関係強化が必要であるため、引き続きモスクの観察を継続する。観察対象のモスクとしては、日本国内では同じく東京ジャーミー、神戸ムスリムモスク、大阪茨木モスク、マスジドイスティクラル大阪を予定しているが、海外では本年度訪問した「尊敬学院」(米国ペンシルバニア州)に加えて、米国における別のモスク一か所も調査対象とし、資料の多様化を図る。
また、日本人説教師のモスクでの登用に現れたイスラームの日本社会への土着化の兆候を、モスクの説教においても確認し、本研究をさらに充実させたいと考えている。そのため、日本および米国のモスクで行われている説教を比較分析しつつ、ムスリムの日本社会および米国社会への土着化の程度を明らかにしていく。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] <論考>イスラームにおける「明文(Naṣṣ)」の意味の多層性と解釈方法の多様性 --ハナフィー学派における意味の四層論とスーフィーによるクルアーン解釈法・イシャーラ(ishāra)の位置づけ--2025

    • 著者名/発表者名
      ダヌシュマン・イドリス
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究

      巻: 18 ページ: 168-184

    • DOI

      10.14989/293738

    • ISSN
      1881-8323
    • 年月日
      2025-03-31
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「トルコ・イスラーム総合論」か「イスラーム・トルコ総合論」:トルコ保守右派におけるトルコ性とイスラームの位置づけをめぐる議論2025

    • 著者名/発表者名
      ダヌシュマン イドリス
    • 学会等名
      スーフィズム・聖者信仰研究会合宿2025
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] トルコにおける「穏健イスラーム」概念の再考2024

    • 著者名/発表者名
      ダヌシュマン イドリス
    • 学会等名
      2024年度第1回穏健イスラーム(科研A)研究会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] 説教壇からコミュニティーに届く声:日本のモスクにおいて説教はどのように作成されるのか2024

    • 著者名/発表者名
      ダヌシュマン イドリス
    • 学会等名
      日本オリエント学会第66回年次大会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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