「多数の証言が一致している場合,その証言内容の確からしさは証言間の因果関係にどのように依存するか」を分析することが本研究の目的である.この目的を達成するため,本研究では,証言にまつわる因果関係にどのようなパターンがあるかを考え,各パターンにおいて,多数の証言が存在する場合に,証言内容がどれほど確からしくなるかを因果グラフを用いて分析する.この因果グラフは,道徳や宗教,科学,個別の物理的事実といった各ジャンルに固有の社会的力学を反映し,これに対応してジャンルごとに常識の確からしさは異なる.このような対応関係を梃子にすれば,各ジャンルにおける常識の確からしさを認識論的に精査できる.
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