映画研究分野では「アトラクションの映画」等、観客の注意を意図的に引き付ける映像技術が研究されてきた。しかし、映像の物語技術が重視され、観客の「触覚的知覚(皮膚感覚)」に照準し、身体の生理反応に近い情動をうみだす「アテンション管理」の考察は、研究対象からは外れてきた。申請者は、インターネット動画の中で近年注目を集める一連のASMRを題材に、ユーザー/観客の視覚、聴覚に加え「快」情動をうみだす触覚的知覚へと働きかけるメカニズムを明らかにすることで、今日YouTube等の動画サイトが、人々の考える力を喪失させ、文化や社会行動を誘導しているしくみの解明とその有害面への対策の礎の構築をめざすものである。
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