本研究は、国内の文学研究において中心的課題とは位置づけられてこなかった無限の呪宝譚を、既存の枠組みを乗り越えたかたちで再解釈し、日本と韓国、口承と書承を跨いで文脈的機能を明らかにすることで日韓の道徳的価値観の根底を解明するための横断的研究である。口承中心の研究手法の偏り、国内外の類話研究における限定的な比較対象の設定、無限の呪宝譚の文脈的機能と道徳的価値観に関する考察の欠如という日韓の無限の呪宝研究の問題意識を持ち、日韓の口承・書承における無限の呪宝がもつ文脈的機能を明らかにし、獲得者の欲望および節制との関連性、日韓の道徳的価値観の基層を探る。
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