研究課題
若手研究
本研究の目的は、英国作家チャールズ・ディケンズの諸作品(主として長編小説)を、「アメリカ読者」に焦点をあて、19世紀アメリカのコンテクストから再考することである。本研究は第一に、ディケンズにとってアメリカが重要な市場であったことを鑑み、彼がアメリカ社会を意識しながら作品を書いた可能性を検証する。これにより、アメリカとは一見関係の無い作品にアメリカ社会への暗示を見出す。第二に、アメリカ読者のディケンズ作品への反応を提示し、ディケンズ作品がアメリカでは英国とは違った視点から読まれていたことを検討する。この二つの観点を踏まえた上で、19世紀中葉のアメリカ文学史におけるディケンズの重要性を提唱する。