本研究では、近代日本の皇室制度をめぐって、いかに制度の運用が行われてきたのかを、特に旧皇室典範に着目して明らかにする。宮内庁書陵部宮内公文書館での史料調査を中心に得られた知見をもとに、旧皇室典範の運用事例のうち、下記の3点について、考察を行う。第一に、皇室典範増補(1907 年、1918 年)の成立過程、旧皇室典範の改正構想を明らかにする。第二に、皇位継承を補完する制度として、摂政制度、皇族会議を取り上げ、関係法令の制定と運用を明らかにする。第三に、皇族を対象とする訴訟制度を取り上げ、制度をめぐる構想と関係法令の整備過程を明らかにする。
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