研究課題
若手研究
日本史上,青銅や鉛製品の原料は,日本国内の鉱山のほか,中国北部・南部,および朝鮮半島が重要な給源だった。戦国時代に入り,銀山開発が進むとともに,火縄銃が戦闘に用いられるようになると,これらの給源のほか,突如としてタイの鉱山に由来する鉛が出現する。江戸時代の鎖国期を経て,幕末の動乱期に入ると,日本以外のアジア産の鉛や青銅製品はみられなくなり,代わりに欧米産(主にイギリス産)が卓越する。タイ産の鉛の流入はいつごろまでに廃れたのか,また,国産資源しか確保できなかったと思われている幕末~維新期の敗軍(西南戦争の西郷軍など)の金属資源を支えた給源鉱山について,同位体地球化学から検討する。