研究課題
若手研究
本研究は、現代における人々の死との向き合い方と死生観の再構築を「日常的実践」から探求するものである。これまでの死の人類学は「葬送儀礼」に注目する傾向があり、葬儀を通して社会が悲しみの感情を水路づけて処理するというように、規定的な枠組みの中で死との向き合い方が解釈されてきた。その結果、個々人が抱く感情は十分に明らかにされてこなかったことに加え、近代医療の発展や疫病の蔓延により刻々と変化する死に合わせて、いかに人々のなかで死のイメージが再編されるのかは考慮されてこなかった。そこで本研究は、死にゆく過程の激変のなかにいる狩猟採集民サンに注目し、現状に合わせながら人々が再構築する死生観を明らかにする。