研究課題
若手研究
不法行為の成立要件(民法709条)としての機能は、立証が容易な過失に集中する。不法行為法における故意の独自の意義は、過失にない機能が認められる点にある。従来指摘されてきたのは、保護法益の拡大(故意による侵害の場合にのみ不法行為が成立する法益がある)と、損害賠償の拡大(特に慰謝料の増額)である。しかし、それらの機能について要求される加害者の主観の実質的内容は、不法行為法上の通説的故意概念と異なっている。これを考慮して、故意の実質的内容を機能的観点から再検討することを試みる。