現代社会で多様な財が出現していることに伴って、民法学における法的処分論の重要性が増している。法的処分に関する従来の理論は、帰属関係の存在を法的処分の根拠とする。しかし、このような見方は、現代社会において多様な財が惹起する法的問題に対応するための理論的基礎たり得ていない。ところで、フランス法においては、「契約の拘束力」が法的処分の根拠として注目を浴びている。本研究は、フランス法の「契約の拘束力」概念を法制史的側面・原理的側面・実践的な解釈論的側面から多角的に分析することを通じて、「拘束力アプローチ」という法的処分論の新たな理論的基礎を、日本法において構築することを目指す。
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