研究課題
若手研究
本研究では,時間によって変化する私立大学の経営戦略のうち,収容定員の調整に着目して,定員割れと経営破綻の因果関係を問い直す.私立大学の定員割れは,経営破綻の原因になるとされてきた.しかし,依然として半数が定員割れのまま維持されている現状は,隠れた“第3の変数”(「交絡」)による,定員割れの過大評価を示唆している.そこで,収容定員の調整という経営戦略が,時間によって変化する交絡(「時間依存性交絡」)として潜在してきたという仮説を,大学単位のパネルデータから検証する.以上より,世論や政策では定員割れが過大評価される一方,私立大学の経営戦略が過小評価されてきた可能性を示す.