本研究の目的は、近代日本において養護学校がどのようにして成立したのかを明らかにすることである。そのために、日本で最初の養護学校として知られてきた大阪市思斉国民学校 (昭和17年2月発足、「精神薄弱児」対象)と東京市光明国民学校(昭和17年4月発足、肢体不自由児対象)に加え、これまで見過ごされてきた名古屋市八事国民学校(昭和16年4月発足、身体虚弱児対象)の成立過程を実証的に分析する。具体的には、養護学校の成立を、明治期にはあり得なかったものが昭和戦中期にはあり得るようになったという変化において捉え、その要因を養護学級との関係や、入学者の属性に着目して複合的な視点から分析する。
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