| 研究課題/領域番号 |
24K16954
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| 研究種目 |
若手研究
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
武内 太貴 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (30991674)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2028年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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| キーワード | 走化性方程式系 / 関数解析学 / 熱半群 / 平滑化効果 / 実補間空間論 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究では,細胞が凝集を行う現象として知られる走化性現象を記述する数理モデルの解析を行う.なお,走化性現象は傷の治癒現象やがん細胞の転移現象などに応用される生物医学的に重要な性質である.本研究では,数理モデルの初期値問題のうち,初期値の特異性が極めて強い場合を考察する.具体的には,不連続な可測関数や,測度などを含む超関数の枠組みを扱い,対応する初期値問題の可解性について調査する.また対応する解の滑らかさを考察することで,非常に強い特異性を持つ初期条件に対しても,走化性現象の数理モデルが十分な平滑化作用を与えることを示す.
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| 研究実績の概要 |
走化性方程式系および関連する方程式系に関する研究成果を得た。流体中の走化性現象を記述する数理モデルに関して、全空間上での時間大域可解性を示した小薗-三浦-杉山(2016)の結果を精密化した。初期値空間をLorentz空間の枠組みで考察することにより、解の持つ正則性をより詳細にした。また、時間大域可解性を示す際に必要となる初期値の大きさの仮定について、通常は全ての初期値が小さい仮定が必要となるが、方程式系の構造に着目すると化学物質濃度は大きな定数まわりの摂動としても議論可能であることが示された。さらに解の時間大域挙動について、化学物質濃度は滑らかな関数で近似できないにもかかわらず、従来の減衰評価を改良できることが明らかになった。本結果は単著論文として投稿し、Advances in Nonlinear Analysisに掲載予定である。 また、上述の数理モデルを有界領域上でも考察した。特に、走化性項には行列値の既知関数を含む場合を考察した。この場合は質量保存則の関係から境界条件にも非線形項が現れ、関連する先行研究は従来のモデルに比べて少ない。同種のモデルの時間大域可解性はCao-Lankeit (2016)によって与えられている。この結果は時間大域可解性を示すために初期値の小ささを仮定しているが、解の構成には縮小写像の原理ではなくアプリオリ評価の導出に基づく収束部分列の議論を用いているため、得られる解は本質的には弱解である。したがって特に解の一意性が得られない問題があった。この問題に関して、線形化熱方程式の新たな最大正則性定理を示すことで、縮小写像の原理が適用できる定式化に成功した。したがって特に解の一意性を含めた時間大域可解性の証明が可能となった。本結果は渡邊圭市先生との共著論文として現在投稿中である。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
4: 遅れている
理由
現状では当初の目標である有界領域上での走化性方程式系の解析ができていない。類似モデルである流体中の走化性現象の数理モデルに関する研究成果を得ることはできているが、そこで用いられているレゾルベント評価は通常のLebesgue空間の枠組みであり、本研究課題の目標とするLorentz空間やSobolev空間の枠組みとは異なる。一方で全空間におけるモデルではLorentz空間での議論は既に問題なく行えることが分かっている。ただし全空間と有界領域では、特にNeumann境界条件による影響で解の挙動は大きく異なるため、目標にはまだ到達できていない。なおSobolev空間の枠組みにおける議論では、Winkler (2010)の議論を拡張できる可能性がある。これは領域に凸性を課すことで、部分積分に現れる境界項を落とすことが可能な手法が確立されている。ただし、この議論も双対性を用いた手法と組み合わせられるかどうかは現状では定かではない。
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| 今後の研究の推進方策 |
目標である有界領域上での走化性方程式系の解析を推進する。場合によっては領域により強い仮定を課すことで議論が簡単にできないか等を検討する。同時に、既にある程度解析されている全空間上の問題も再度考察し、新たな研究成果を得つつ有界領域上での解析に応用可能な手法を模索する。あるいは、先の研究課題である解の正則性の解明の方が議論が進めやすい状況であれば、既に存在が分かっている初期値問題の解についての正則性を精査する方向性で研究を推進する。
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