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気象ドップラーレーダー観測から風の復元技術を用いた台風構造の変動機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24K17127
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分17020:大気水圏科学関連
研究機関気象庁気象研究所

研究代表者

辻野 智紀  気象庁気象研究所, 台風・災害気象研究部, 主任研究官 (00899148)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2026年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワード気象学 / 台風 / 気象レーダー
研究開始時の研究の概要

日本に大きな被害をもたらす台風の強風分布を面的に把握し、その時空間変動機構を理解することは、理学、防災の観点から重要である。気象ドップラーレーダーは風に流される降水粒子の移動速度(ドップラー速度)を高解像度、高頻度で観測しているが、ドップラー速度から風を復元する技術は発展途上であり、台風への利用は限られている。本研究では台風に特化した新しい風の復元技術を用いて、気象庁レーダーのドップラー速度観測から台風の強風分布の面的把握を試みる。復元された風のデータと大気の運動方程式を組み合わせることで、台風強風の変動機構を解明する。本研究は台風強度推定に対する既存観測の新たな利用価値の創出にもつながる。

研究実績の概要

本年度では、2010年から2024年にわたる南西諸島、沖縄域での気象庁地上設置ドップラーレーダーの観測データから、11の台風事例(申請時の対象事例含む)を抽出し、Tsujino et al. (2024) で提案された新手法を用いて台風中心付近の水平風を復元した。これらの事例について、ドップラーレーダーと独立な地上設置ウィンドプロファイラー(設置地点上空の水平風鉛直分布を観測するリモートセンシング測器)観測の水平風と比較した。既存手法より新手法の方がウィンドプロファイラーとの差が小さく、高精度な水平風の復元が可能であることを確認した。
2022年に沖縄域を通過した台風第11号について、米軍嘉手納基地のドップラーレーダー観測(申請時には想定していなかった新しい観測データ)を同手法で復元し、台風の周方向の風における1日以内という短期間での顕著な減速を明らかにした。この減速は多重壁雲交替と呼ばれる特徴的な現象であり、発生の物理機構が未解明である。本研究で実施した水平風の復元から、既存の研究で提案された風の減速過程と異なる新しい機構が働いた可能性を指摘した。この研究成果は国際研究集会でポスター発表された。
2024年に九州に上陸した台風第10号(申請時には想定していなかった事例)の上陸前の急発達について、名瀬と種子島の気象庁ドップラーレーダー観測を利用した水平風の復元により、長時間の台風構造変化を明らかにした。また気象庁の現業数値予報モデルを用いた同事例の再現実験を実施した。台風構造変化の前兆現象と考えられる特徴的な台風構造の変化がレーダー観測と数値実験で同様に現れていることを確認した。この研究は計画前に想定していなかった、ドップラーレーダー観測の水平風復元と数値実験を組み合わせた複合的な解析を可能にした。

現在までの達成度
現在までの達成度

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画では気象庁ドップラーレーダーで観測された3つの台風事例について水平風の復元を行う計画であったが、ウィンドプロファイラーとの比較のために11の台風事例について水平風の復元を行うことができた。この大きな進捗により、当初より多様な台風構造についてデータ解析が可能となった。また、当初の予定になかった米軍の観測データを利用することができるようになり、データ解析からこれまでにない新しい台風の強度変化過程を示す結果が得られた。さらに、2024年度に発生した顕著な台風についても解析することができ、当初予定になかった数値実験との比較からドップラーレーダー観測の新しい利用可能性を見出すことができた。当該年度では、風の復元データを用いた力学解析まで進める予定ではなかったが、次年度の予定を前倒しして実施することができた。

今後の研究の推進方策

今後は予定通り、前年度で実施したドップラーレーダー観測からの水平風の復元結果を用いて、2020年台風第10号の強度変化における力学機構を解析し、投稿論文としてまとめる。(申請時は最終年度に予定していたが)今年度に前倒しで実施した2022年台風第11号の解析結果を投稿論文としてまとめる。2024年台風第10号のドップラーレーダー観測結果と数値実験結果をさらに力学的な視点から解析する。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 台風に伴うメソスケール現象の現状理解と課題-主に台風強度・構造の観点から2024

    • 著者名/発表者名
      辻野智紀
    • 雑誌名

      月刊海洋

      巻: 56 ページ: 716-723

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] Is Redistribution of Vorticity Due to Barotropic Instability a Common Mechanism of Inner Eyewall Weakening in Observed Eyewall Replacement Cycles?2024

    • 著者名/発表者名
      Satoki Tsujino, Akira Nishii, Taiga Tsukada, and Sachie Kanada
    • 学会等名
      The 2nd International Workshop on Typhoon Science and Technology Research Center
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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