研究課題
若手研究
mRNA医薬の5’キャップ構造は、mRNAのタンパク質翻訳能や免疫受容体結合能に関与している。現状のmRNA製造技術ではキャップ構造の導入効率が不完全であり、キャップを持たないRNAも副生する。したがって、キャップ構造の多様性が与えるmRNAの活性への影響を正確に評価できなかった。そこで我々は、完全にキャップ化されたmRNA を製造できる技術(PureCap法)を開発した。PureCap 法により製造した純度の確かなキャップ化mRNAを用い、mRNAの構造-活性相関研究を実施する。本研究実施により、感染症・癌ワクチンや遺伝性疾患治療薬への応用を目指した高活性mRNA医薬の開発に繋げる。
様々な化学修飾を有する新規キャップアナログを設計・合成した。合成には、半自動合成-精製システムを構築することにより、多品種高効率製造が実現した。具体的には、2'-O-メチル修飾や2'-デオキシリボース骨格を有する新規キャップアナログの開発に成功した。また、塩基配列の異なる20種類以上のキャップアナログの合成にも成功した。これらの合成したキャップアナログを用いた試験管内共転写反応において、キャップ化反応の効率向上を目的としたプロモーター配列の検討を行った。種々検討の結果、T7プロモーター配列下流側にキャップアナログの塩基配列に対応する1塩基もしくは2塩基挿入したΦ6.5プロモーターを用いることにより、キャップ化効率の向上が実現した。最大でキャップ化効率90%にも達する系も見出しており、mRNA製造の高効率化が期待される。合成したmRNAの翻訳活性をHeLa細胞およびJAWSII細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより評価したところ、化学修飾の種類や数によって活性が異なることがわかった。特に、2′-O-メチル修飾数が上がるにつれて翻訳活性は向上することが明らかになった。また、Cap1構造を有するmRNAにおいては、2'-O-メチル修飾よりも2′-デオキシリボース修飾において有意な翻訳活性向上が観測された。化学修飾の種類や数に加え、塩基配列の影響についても解析した結果、塩基配列の違いにより劇的に翻訳活性が異なることを発見し、その理由について詳細に解析していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、高効率なキャップアナログの合成を目指した半自動合成-精製システムの構築したため、今後より広範なアナログ合成を実施できる基盤技術が整ったため。また、試験管内共転写反応におけるキャップアナログ導入効率向上を目指したプロモーター配列の開発にも成功し、mRNAの製造面でも有用である。
2'-O-メチル修飾や2'-デオキシリボース骨格に加え、より広範な化学修飾を有するキャップアナログを合成する。また、それらを導入したmRNAを高純度合成し、それらの翻訳活性について評価していく。さらにはモデルマウスを用いた翻訳活性評価についても進めていく予定である。今回、キャップ構造における塩基配列の違いによって大きく翻訳活性が異なることを見出したため、その理由について詳細に解析していくとともに、どのような塩基配列が最も優れるのか法則性を明らかにしていく必要がある。さらには、キャップ構造における塩基配列の違いと化学修飾との組み合わせなどについても調査していく予定である。
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