研究課題
若手研究
ハクジラ類が反響定位を行う際に用いる鳴音(クリックス)の音響学的特性は種間で異なるが,その差異が生じる作用機序には未解明の点が多い。反響定位器を構成する軟組織の物性の多くが明らかにされておらず,音の伝搬過程に不明な点が多いためである。ハクジラ類は固有の音響脂肪体であるメロンを有するため,ウシなど物性が既知の動物の骨格筋に比べてはるかに軟組織の油分が多い。すなわち,反響定位器の軟組織はハクジラ類に固有の物性値を示す可能性がある。本研究では,ハクジラ類の反響定位器の物性を種横断的に明らかにすることでその音響学的特性を解明し,クリックスの音響学的特性の変化の作用機序の解明につながる知見を得る。