| 研究課題/領域番号 |
24K18244
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| 研究種目 |
若手研究
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
塩谷 和基 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90907015)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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| キーワード | 呼吸 / 生体リズム / 嚥下 / 機械学習 / 風味(Flavor) / 香り / 味 / 食 / 嗅覚 |
| 研究開始時の研究の概要 |
おいしさには、食べ物の香りと味によって作られる風味(フレーバー)が重要な役割を果たしている。これまで、風味の研究は、主にヒトを対象として行われてきたが、時間解像度が高い状態で風味知覚時の脳の情報処理を明らかにすることは困難であった。また、風味知覚には呼吸や嚥下などの生体リズムの把握が重要になってくる。そこで本研究は、哺乳類のモデル動物であるマウスを用いて、ミリ秒単位で記録可能な電気生理学的手法を用いて、呼吸や嚥下を計測した状態で風味の脳内情報処理機構を明らかにすることを目的とする。
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| 研究実績の概要 |
風邪をひいて鼻が詰まったときに、食べ物がおいしくないと感じる経験がよくある。一般的においしさというものは、味覚だけで決まるものだと思われている。しかし、ヒトが食べ物をおいしいと感じるためには、味だけでなく、食物の香りや舌に触れた食感などを含めた統合的な質感が必要である。その中でも、食べ物の香りと味によって作られる風味(フレーバー)という質感がおいしさを感じるためには重要である。特に、風味の主役は、口の中から鼻へと抜ける香りである。そのため、鼻が詰まっている状態では、風味を感じることができず、おいしさを感じることができない。これまでの風味研究で、摂食行動や価値表出に関わる脳領域の内側前頭前野(medial prefrontal cortex, mPFC)の重要性がヒトの研究で明らかになってきた。しかしヒトの磁気共鳴機能画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)を用いた研究では、時間解像度が高い状態で風味知覚時の応答特性を明らかにすることが困難である。また、風味知覚には呼吸や嚥下などの生体リズムの把握が重要になってくる。そこで本研究は、電気生理学的手法を用いて、呼吸や嚥下を計測した状態で風味の脳内情報処理機構を明らかにすることを目的とする。具体的には、げっ歯類の風味知覚課題と呼吸のリズムや嚥下タイミングの計測技術を確立し、その課題遂行時に見られる内側前頭前野の神経細胞の応答特性を解明する。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
風味知覚時の脳内処理機構を明らかにするために、1.風味知覚課題時の生体リズム情報として、風味知覚時の嗅覚は通常の吸気によって感じるものではなく、呼気のタイミングで感じるとされ、より深い呼気を生み出す嚥下のタイミングによって、より風味を感じるアロマバーストを生み出しおいしさに重要なタイミングとなることが分かっている(Shepherd, 2006)。そのため、風味の応答特性をより厳密に定義するために、呼吸のリズム、嚥下のタイミングといった生体リズムを把握することが重要である。呼吸のリズムを記録するために、行動課題遂行中に鼻腔内にサーミスタという温度素子を挿入する手法を用いる(McAfee et al., 2016)。また、別の方法としてユニークメディカル社製の生体温度計をマウスの鼻腔前に配置することで、呼吸を手軽に計測できる方法の確立も行う。さらに、嚥下のタイミングの計測では、嚥下時に大きく活動する顎舌骨筋からワイヤー型電極を用いて記録を行う(Asano et al., 2017)。行動と生体リズムについて詳細に調べるために、人工知能を用いた行動動画解析手法であるDeepLabCutを用いて、行動課題遂行中の呼吸リズム、嚥下のタイミングを同時計測し、行動との関係性について定量的な評価を行う。現在、呼吸のリズムを記録するために、サーミスタによるマウスの呼吸リズムの微弱な信号を増幅するための非反転増幅回路を自作で組み上げている段階である。また、嚥下のタイミングを記録するためのワイヤー型電極を作成している段階である。
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| 今後の研究の推進方策 |
来年度にかけて、現在に引き続き、行動中の動物から呼吸タイミングを把握するために、1.風味知覚課題時の生体リズム計測の技術確立を行う予定である。また、これらの技術が確立次第、2.風味知覚課題時の内側前頭前野(mPFC)の神経細胞活動の記録を行う。具体的には、神経活動と同時に呼吸と嚥下タイミングを記録後、数理モデルや機械学習を用い、単一の神経細胞において呼吸とのタイミングの関連性や細胞集団それぞれで風味に対する応答特性を明らかにする。具体的には、一般化線形モデルを使用して、個々の応答特性が運動や意思決定などの要因を排除した純粋な風味刺激であることを示し、個々の神経細胞の応答特性について、ヒトでは見られなった厳密な応答特性について明らかにする。さらに、mPFC領域内の細胞集団の風味に対する情報表現を明らかにするために、機械学習を用いてデコーディング解析などを行う予定である。
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