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膵頭十二指腸切除術における周術期QOL変化の解明と治療介入によるQOL改善の応用

研究課題

研究課題/領域番号 24K19411
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分55020:消化器外科学関連
研究機関静岡県立静岡がんセンター(研究所)

研究代表者

山田 美保子  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (30993597)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2029-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2028年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード膵頭十二指腸切除術 / リハビリテーション / 栄養療法 / サルコペニア / QOL / 膵頭十二指腸切除
研究開始時の研究の概要

膵頭十二指腸切除術後は、高い合併症率や栄養吸収障害などから骨格筋量の低下や身体機能の低下といったサルコペニアに陥りやすい。これらの身体的変化は、患者の生活の質quality of life (QOL)の低下と密接に関連し、術後補助化学療法の施行が困難となったり、高齢者では日常生活動作の低下をきたす。術後のQOL変化を正確に把握し、その回復を促すことは生命予後の改善につながる。この研究の目的は、膵頭十二指腸切除術の周術期のQOL変化と身体機能や栄養状態の変化との関連を明らかにすることである。さらに術後の実態をふまえ、術後QOLの回復と維持を目指した、運動・栄養療法による介入研究を行う。

研究実績の概要

本研究は、膵頭十二指腸切除術を受ける患者に対して、周術期のQOL(生活の質)、身体機能、栄養状態の縦断的変化を明らかにすることを目的とした前向き観察研究である。2023年9月より症例登録を開始し、予定通り1年間で89例の登録を完了した。調査は術前2週間以内、術後1か月、3か月、6か月の4時点で実施し、QOL評価(EORTC QLQ-C30および独自アンケート)、6分間歩行試験、握力、筋量測定(体組成計・CT)、MNAによる栄養評価、血液検査を行った。血清サイトカインに関しては、介入試験以降で行うこととした。現在、全症例のデータ収集が完了し、データクリーニングおよび統計解析を進めている段階である。術後6ヶ月の評価を完了した25例に対する中間解析では、QOLの有意な低下(術前比10点以上の低下)は4例(17%)に認められた。QOLスコアは術後1ヶ月で最低値を示し、6ヶ月で多くの症例が術前水準まで回復した。6分間歩行距離や栄養状態も同様の回復傾向を示したが、QOL低下群では術後1ヶ月時点での低栄養割合が有意に高かった(25% vs 0%、p=0.026)。今後、低栄養を伴うQOL低下群を対象とした介入研究が求められる。次年度以降の介入試験の準備として、2024年6月に日本肝胆膵外科学会、2025年4月に日本外科学会に参加し胃癌や食道癌領域のリハビリ、栄養に関する発表を聴講した。またリハビリや栄養に関して遠隔リハビリや栄養剤に関して企業面談などを行い情報収集を行い、介入試験の立案をすすめている。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

本研究は、膵頭十二指腸切除術後のQOL低下を予防するための介入試験を計画しており、初年度に実施した観察研究によって得られた知見をもとに、対象患者の選定と介入内容の設計を進める予定であった。しかしながら、観察研究のデータ解析が当初の想定よりも遅延しており、現在も最終解析を継続している段階である。このため、介入試験における対象群の明確化や有効な介入方法の選定が困難であり、立案の遅れにつながっている。
また、観察研究中に得られた患者からのフィードバックも重要な要因となった。特に、外来通院時のリハビリ評価や栄養指導に関する負担感が強く、一部の症例では検査や評価への参加を辞退される事例も散見された。術後間もない高齢患者が多く、体力や通院手段の問題も重なり、現行のプロトコールでは現実的な介入が難しいと判断された。
これを受け、当初予定していた介入方法の内容、特に栄養補助剤の選定(エレンタール®の継続服用)や運動療法の実施形式(外来通院による有酸素運動や筋力トレーニング)についても再検討を要する状況である。現時点では、患者の負担軽減と継続可能性を考慮し、栄養剤の種類変更や管理栄養士による指導の導入、さらに遠隔型の運動療法(オンライン指導・自宅リハビリ)の導入を検討している。これらの変更を反映した介入研究プロトコールの再構築を行っている段階である。

今後の研究の推進方策

今後は、観察研究の全データ解析を速やかに完了し、その結果から術後QOLが著しく低下するリスク因子を明確に特定することが最優先となる。中間解析では、低栄養状態がQOL低下に関連している傾向が示されており、今後の介入研究では栄養状態の改善を中心とした戦略が重要と考えられる。これに基づき、介入群の選定は「術後1か月時点で栄養指標が悪化している患者」や「術後の身体機能評価において有意な低下を認めた患者」を中心に設定する予定である。
介入内容については、従来計画していた免疫強化栄養剤およびエレンタール®の経口投与に代えて、より継続しやすく嗜好性の高い市販栄養補助食品の使用を検討する。また、管理栄養士による継続的な栄養指導を加え、患者個々の状態に応じた個別対応型の栄養介入とする。加えて、術前から栄養評価・指導を開始することで、術後の状態悪化を予防するプレリハビリ的な取り組みも導入予定である。
運動療法に関しては、外来通院による負担軽減のため、遠隔リハビリテーション(動画指導・オンラインセッション等)を導入し、患者の自宅での運動継続を支援する体制を構築する。ICTツールを用いた運動記録や定期的なリモート評価を組み合わせることで、実施状況の把握と介入効果の検証も行う。
今後は、プロトコールの修正と倫理審査委員会への再申請を並行して行い、2025年度前半中に介入試験を開始できる体制を整備する。さらに、リハビリテーション科・栄養科との連携を密にし、患者にとって現実的かつ効果的な介入研究を実施することで、QOL低下の予防と長期的回復を支援する臨床的意義の高い研究を目指す。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2025

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 膵頭十二指腸切除術における周術期のQOL変化2025

    • 著者名/発表者名
      東松 由羽子、 山田 美保子、蘆田 良、 大木 克久、 大塚 新平、 加藤 吉康、出井 秀幸、 上坂 克彦、杉浦 禎一
    • 学会等名
      第125回日本外科学会定期学術集会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書

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公開日: 2024-04-05   更新日: 2025-12-26  

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