靭帯再建には主に自家腱が用いられており、生体力学的な機能を正しく補完する実用的な人工靭帯はまだ実在しない。PHAは微生物産生の生分解性プラスチックであり、近年海洋汚染や人体への影響が懸念されている非分解性マイクロプラスチックとは異なり、地球環境に優しく生体適合性が高いという特徴を持つ。本研究グループは伸縮性と強度を併せ持つ独自のPHAから成る均一の細繊維の作成に成功した。本研究ではこれまでの成果を発展させ、新素材であるP(3HB-co-4HB)から成る細繊維を非吸収性材料から成る繊維と特殊な加工を行うことで弾性と強さを併せ持つ構造体を作成し、生体に近い物性を持つ新たな人工靭帯の開発を目指す。
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