研究課題
若手研究
“ゾド”とは冬から春にかけて、寒さや積雪などの複合的な要因により、家畜が大量死するモンゴルの自然災害である。ゾド発生から5年後にかけての調査から、災害を契機として牧民間の格差拡大が見られた。ゾドから10年後には頭数の増えすぎた世帯から少ない世帯への家畜の譲渡が行われ、格差縮小につながる可能性がある。しかし譲渡されるのは災害に弱いヤギが多く、遊牧からいったん離れると家畜が寒さをしのぐ環境を失っていることも多く、頭数が回復したとしても災害に、より脆弱になっていることが危惧される。本研究では遊牧民世帯の長期的な頭数回復過程における格差や脆弱性の変化を明らかにし、災害に強い遊牧社会のあり方を示す。