研究課題
挑戦的研究(開拓)
高温超伝導が報告されているLaH10のような水素過剰型の水素化物では水素はほぼ中性である。したがって、水素がお互いの電子雲を重ねて金属化するには、100 GPa以上の超高圧によりH-H最近接距離をボーア半径の二倍程度まで近づけねばならなかった。ところが、初めから水素の電子雲が重なっている物質が存在する。それが、本研究で対象とする、LiHなどの“普通の”水素化物である。ただし。これらの水素化物ではH1s軌道が完全に埋まっており、伝導性を与えるにはH1s軌道に穴をあけなければならない。そこで本研究では、元素置換と電界誘起によってH1s軌道に穴、つまりホールを生成して水素の金属状態を引き出す。