| 研究課題/領域番号 |
24K21328
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| 研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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| 研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中屋 佑紀 北海道大学, 工学研究院, 助教 (60868735)
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| 研究分担者 |
山村 寛 中央大学, 理工学部, 教授 (40515334)
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50243332)
癸生川 陽子 東京科学大学, 理学院, 准教授 (70725374)
齋藤 伸吾 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60343018)
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| 研究期間 (年度) |
2024-06-28 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2027年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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| キーワード | SPE-EEM / 腐植物質 / 土壌有機物 / 堆積物 / 隕石 |
| 研究開始時の研究の概要 |
天然有機化合物(NOM)の分析には抽出や濃縮が必要となることが多いが,抽出操作によるアーティファクトが近年問題視され,腐植物質研究の正当性が揺らぐ論争となっており,抽出を必要としない非破壊な直接分析法が求められている.そこで本研究は,固体状態での励起蛍光マトリクス(SPF-EEM)分光法により,土壌や堆積物,水処理膜,隕石のような希少試料等の表面に存在する天然有機物を非抽出・非破壊で分析する手法を確立する.環境試料のSPF-EEMの標準測定法や補正理論を提案し,代表的な環境物質の蛍光のデータベース化と実試料への適用,装置の小型化による現場での簡易分析や面分析を世界に先駆けて実施する.
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| 研究実績の概要 |
環境試料などのヘテロな系に対して固体状態での励起蛍光マトリクス分光法(SPF-EEM)を適用し比較できるようにするため、消光補正を含む標準分析法の提案と、リファレンス用データベースの整備に取り組んでいる。その中で、腐植物質の標準試料のひとつであるDandoフルボ酸は、溶媒中への分散、粘土鉱物への吸着、凝集により分子同士の近接度合いが変化し、見かけの蛍光極大が移動する可能性が示唆された。しかし、SPF-EEM測定においては、ブロードな真の蛍光ピークに対して短波長側の吸光度が高いことによる見かけ上の蛍光極大の長波長側への移動が発生している可能性も考えられるため、今後はこのような内部消光効果の補正方法を検討する。さらにSPF-EEMの有用性を示すために、隕石などの希少試料の分析、ゲル電気泳動により空間的に分画したNOMの面分析による蛍光直接観測、面分析手法の開発にも取り組んだ。腐植物質標準試料の抽出元となったいくつかの土壌や、炭、炭素質コンドライト隕石、腐植物質を分散させたゲルなどのSPF-EEMを取得することができた。少量の試料の測定のため、ホウ酸や硫酸バリウムなどの白色の粉末による希釈や、赤外分光測定に使用するKBrプレートの活用を試みたが、いずれもバックグラウンドの蛍光が見られた。今後も、暗色で蛍光の微弱な固体試料のSPF-EEMを少量の試料から測定する方法を検討する。また、光ファイバーユニットを導入でき、迷光を軽減でき、内部の湿度を制御できるような密閉式の試料室を作成し、SPF-EEMスペクトルの面分析を試みる。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
腐植物質の標準試料のひとつであるDandoフルボ酸を使用し、溶媒中への分散、粘土鉱物への吸着、凝集が見かけの励起蛍光マトリクス(EEM)スペクトルに与える影響を検討した。分子同士の近接によって、見かけの蛍光極大が長波長側へ移動する可能性が示唆された。また、試料の色味に関する情報を得ることを狙って紫外可視領域の反射率を測定し、吸光の度合いに対応するクベルカ・ムンク(KM)関数に変換した。固体EEM(SPF-EEM)測定においては、ブロードな真の蛍光ピークに対して短波長側の吸光度が高いことによる見かけ上の蛍光ピークの長波長側への移動が発生している可能性も考えられるため、このような内部消光効果の補正方法の構築も含めて、今後の検討が必要となった。 並行して、腐植物質標準試料の抽出元となったいくつかの土壌や、炭、炭素質コンドライト隕石、腐植物質を分散させたゲルなどのSPF-EEMの取得も試みた。装置の純正オプションの固体試料セルでは、試料の量が少ない場合に測定ができない可能性が考えられたため、より少量の試料を封入するタイプのセルを試作した。また、ホウ酸や硫酸バリウムなどの白色の粉末による希釈や、赤外分光測定に使用するKBrプレートの活用を試みたが、いずれもバックグラウンドの蛍光が見られ、暗色で蛍光の微弱な固体試料でのSPF-EEM測定では課題が残った。
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| 今後の研究の推進方策 |
分子同士の近接による見かけの蛍光極大の移動について、タンパク質や染料の成分などの、化学的に構造が特定されている蛍光性分子や、異なる腐植物質試料を用いた実験を継続する。暗色の試料の混合などにより試料の吸光特性(KM関数)を変化させ、見かけのSPF-EEMスペクトルへの影響を検討する。SPF-EEMスペクトルに対する内部消光効果の補正を行う手法の構築を継続する。一方で、蛍光強度の補正を行わなくとも、試料の暗色に由来する消光効果を含めた見かけのSPF-EEMスペクトルそのものが、その試料の特徴付けるものとして利用できる可能性がある。そこで、環境試料中で見つかっているタンパク質などの特定の蛍光性分子や、固体NMR測定などの他の化学的分析がすでに行われている土壌試料のSPF-EEMをデータベース化する。多量のEEMスペクトル(溶液)に対する多変量解析手法として実績のあるPARAFAC解析により共通の見かけの蛍光成分や、それぞれの試料を特徴付ける見かけの蛍光成分を抽出することを試みる。 さらに、面分析法の開拓に取り組む。励起光を光ファイバーにより試料表面に照射し、拡散反射方向の蛍光を光ファイバーにより装置の検出器に戻す。これにより、励起光のスポット径ごとに固体の試料を面分析することができると期待される。来年度は、光ファイバーユニットを導入でき、迷光を軽減でき、内部の湿度を制御できるような密閉式の試料室を作成し、SPF-EEMスペクトルの取得を試みる。
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