| 研究課題/領域番号 |
24K21703
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| 研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 教授 (50302766)
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| 研究期間 (年度) |
2024-06-28 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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| キーワード | コンパートメント / ハイドロゲル / 無細胞タンパク質合成 / 相分離 / 人工区画 / 酵素 / 分子進化 / 生体触媒 / 無細胞合成 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究では、目的の機能を有する生体触媒 (酵素) を選抜するための新しい分子探索システムを創出する。バイオ分析技術の高度化と遺伝子改変技術の深化により、細胞そのものを利用した物質生産や高度分析が実現しているが、細胞の生育に影響を及ぼす因子が含まれる場合には適用が困難となる。本研究では、Water-in-Oilエマルションにより形成される油中の微小水滴を反応場と見なし、その相変化に着目することで、遺伝子型 (塩基配列情報) と表現型 (タンパク質の性能) を、簡便かつ効率よく一致させるための新たなプロセスを構築し、生細胞を必要としない新規生体触媒選抜系を構築する。
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| 研究実績の概要 |
初年度の検討においては、本研究開発の鍵となるアイデアに基づき、高分子基材により人工的に作製された微小空間(ここでは、コンパートメントと呼ぶ)中での酵素タンパク質の無細胞合成と、生産された酵素が触媒する染色反応によるコンパートメントの可視化を中心に検討を行った。具体的には、次年度以降の検討の礎となる酵素群として、ラッカーゼ2種類、チロシナーゼ1種類を選択し、それぞれの酵素の文献情報を探索すると共に、学会発表を中心とした情報収集を実施した。ラッカーゼについては、文献レベルでは無細胞合成系での発現が可能なことを確認し、銅イオンの挿入のタイミングが酵素活性発現における重要な因子であることを確認した。また、チロシナーゼについては、既往の研究の文献情報を収集し、最近注目を集めている細菌由来チロシナーゼの発現ベクターの構築と無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の発現を確認した。活性発現のための補因子となる銅イオンの挿入については、上述のラッカーゼを用いた基礎情報を踏まえ、最適化を実施した。さらに、モデル酵素としてトランスグルタミナーゼを用いた基礎検討においては、スクリーニングにより得られた変異体酵素の分子モデリング結果と触媒活性の相関について考察し、in silicoでの解析により、wet実験で得られた成果を補完し得ることを確認した。 また、コンパートメントを構成する高分子ハイドロゲルの作製に関して、相変化を効果的に誘起するための設計について検討した。具体的には、合成高分子ネットワークに組換えタンパク質を導入することで、タンパク質の性質に由来する新たな機能付与を試みたところ、組み合わせに用いる高分子基材の種類を変えることで、物性が大きく変化することを見出した。以上の基礎研究成果より、次年度の研究推進のための基礎データを得た。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、目的の機能を有する生体触媒 (酵素) を選抜するための新しい分子探索システムを創出することを目標としている。Water-in-Oilエマルションにより形成される油中の微小水滴をコンパートメントと見なし、その内部空間で遺伝子型 (塩基配列情報) と表現型 (タンパク質の性能) を、簡便かつ効率よく一致させるための新たなプロセスを構築することを目標として、総計4種類の異なる触媒機能を示す酵素(金属含有酸化酵素ならびに架橋酵素)を対象とした無細胞タンパク質発現と活性発現条件の最適化、新たなハイドロゲル基材の設計に関する基礎検討を実施した。また、計算科学の援用による選抜酵素の機能評価方法についての検証も行い、学術論文成果の出版に寄与した。以上の結果から、初年度の研究については概ね順調に進展していると判断した。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度においては、微小コンパートメントにおける目的酵素の無細胞合成と、生産された酵素が触媒する反応によるハイドロゲル形成反応と染色反応の両立に向けた基礎検討を実施する。特に、4つの銅イオンを補因子とし、大腸菌での活性型酵素の発現が困難なラッカーゼと、既に発現検討を終えたチロシナーゼを概念実証のためのモデル酵素として選択し、コンパートメントの蛍光染色を指標とした酵素活性の評価系を構築する。この際、Water-in-Oilエマルションにより形成される水相を反応場とした場合との比較検討を行い、本研究で提案する技術の強みを明確化する。特に、チロシナーゼは産業上の有用性が高く、近年バイオテクノロジー分野で注目度が高まっていることから、酵素の触媒活性に応じた蛍光強度に依存した選択に加え、相変化を指標とした評価系を構築する。さらに、得られた候補変異体の触媒活性と、それぞれのアミノ酸配列情報に基づく in silicoモデリングによる構造情報を突合し、特に芳香族性化合物を基質として利用する新たな酸化酵素変異体の取得を試みる。 以上の基礎研究を通して、反応場の相変化に注目した、生細胞を必要としない人工のコンパートメントからなる再構成系を構築し、概念実証の達成と基礎特許出願を達成すると共に、国内外の関連学会ならびに国際誌での成果発表を行う。
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