研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、一方の芳香環の2位と3位にそれぞれOTf基とSiMe3基を、他方芳香環の2’位のベンジル位にヘテロ原子団を備えた化合物をビアリール類を原料として用いる。この化合物に対してフッ化物イオンを作用させるとベンザインが生じるが、そのベンザインの歪みの解消および安定性の高いベンジルカチオンの発生を駆動力として、近傍にあるヘテロ原子団の転位反応が、しかも立体選択的に進行すれば、所望の不斉転写型の軸不斉ビアリールの不斉合成が実現できることになる。このような分子内の置換基の移動(結合活性化)と動的立体制御を同時に行う不斉合成の達成例はなく、ベンザインの新しい利用法を切り拓く手法となる。