研究課題
挑戦的研究(萌芽)
シクロデキストリンを環状鋳型分子として用いることにより、金原子を12~16個を環状に配列した環状多核金錯体を合成する。環状多核金錯体のd軌道からなる共役系はσ対称性に加えてπおよびδ対称性を有し、金(I)ではすべての分子軌道が電子で占有されているので、段階的な酸化反応により反結合性軌道に充填された電子を取り除く。これにより、d軌道からなる共役系の総電子数を段階的に変化させることが可能である。遷移金属原子のみからなる共役系の芳香族性は未踏の領域であり、その実験的な実証は、化学の最重要概念である芳香族性の定義をアップデートするに留まらず、遷移金属原子を含む化合物群の新たな設計指針を提示する。