| 研究課題/領域番号 |
24K22483
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| 研究種目 |
研究活動スタート支援
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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| 研究機関 | 比治山大学 |
研究代表者 |
藤田 郁 比治山大学, 現代文化学部, 講師 (20981814)
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| 研究期間 (年度) |
2024-07-31 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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| キーワード | 文体分析 / 定量的文学作品研究 / Stylometry / 韻文 / 著者推定 / アルフレッド・テニスン / 定量的分析 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は,①定量的手法を用いてアルフレッド・テニスンの初期の詩集, Poems by Two Brothers (1827) の著者推定を行い,結果を提示することで,②韻文英文学作品への定量的著者推定手法の援用可能性を提案することを目的とする。定量的な分析により,作品を特徴づける語の頻度や共起傾向をもとに著者を推定する。また,著者ごとの特徴抽出と他作家との比較分析をすることで,詩集に対する批評の的となった作品が誰の作品であるのかも明らかにする。分析・研究の結果を通し,定量的手法の応用例が少ない韻文英文学作品への援用可能性も提示していく。
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| 研究実績の概要 |
2024年度は,第一の研究課題であるPoems by Two Brothers(1827年出版,以下PTB)の著者を定量的手法により推定する分析に取り組んだ。Computational Literary Studiesの2025年年次大会で研究成果を発表することを目標に分析を進めてきたが,手元のデータのみでは著者推定に十分な根拠を示す結果を得るには至らず,研究計画の見直しを行うこととなった。 著者推定分析の過程で明らかになった主な課題は,作品単位で分析対象となる語数が少なく,分析結果の信頼性に限界がある点であった。この課題を解決するため,まず分析対象の拡充を図ることとし,PTBに収録されている詩作品の主な著者の一人であるチャールズ・テニスンの詩作品約400点を追加データとして用いることにした。これらのPDFファイルを分析可能なテキスト形式に変換し,文字化けの修正や品詞タグ付けなどの前処理を経て,2025年3月末までに分析に使用可能な状態に整備した。 併せて,当初の研究計画に記載した課題への取り組み順を見直し,まずはPTB内の著者不明作品を除いた,アルフレッドおよびチャールズによる執筆が確認されている作品を用いて,両者の文体的特徴の比較分析を行った。PTB全体の9割以上を執筆したとされる二人の文体的差異を明らかにすることで,著者不明作品の著者推定に資する知見を得られると考えている。 文体的特徴の分析は,1. 内容語(名詞・動詞・形容詞),2. 機能語(前置詞・冠詞など),3. 副詞の三つの観点から実施している。1.の内容語に関する分析は学術論文として査読誌に投稿し,2025年5月発行号での掲載が決定している。2.の機能語分析および3.の副詞分析については,それぞれ2025年中に開催予定の学会年次大会での口頭発表を経て,論文として投稿する予定である。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では,Poems by Two Brothersに収録された著者不明作品について,定量的手法を用いた著者推定を行い,その結果をもとに著者を特定することを目指していた。しかし,分析を進めた結果,現時点で手元にあるデータのみでは,著者推定に必要な十分な根拠を得ることができなかった。そのため,研究の信頼性と成果の実効性を担保する観点から,研究計画全体の見直しを行うに至った。 見直しに伴い,分析対象データの拡充が急務となった。対象データを補強すべく,新たに約400点に及ぶ関連韻文作品のPDFファイルを収集し,分析可能なテキスト形式への変換を実施した。その後,文字化けの修正や不要なノイズの除去,品詞タグ付けといった一連の前処理作業を行い,データセットを整備した。この作業には,データの精査等を含めて約2か月を要した。 また,階層的クラスタリングをはじめとする,これまで主に散文作品の著者推定に用いられてきた手法を詩作品に適用することには,ジャンルの違いによる限界があると判断した。そのため,著者推定を試みる前段階として,各著者の文体的特徴を定量的に明らかにすることを目的とした,第二の研究課題である「文体特徴の抽出」に先に着手する方針へと変更した。現在は,分析の初期成果に基づき,学会での口頭発表に向けた準備を進めている。 このように,追加作業の発生と研究の進行順序の見直しにより,当初のスケジュールに遅れが生じている。当初の計画では,2025年度初頭よりPTB以外の詩人の作品との比較研究を開始する予定であったが,現時点では,まだ着手できる段階には至っていない。今後は,現在進行中の文体分析の成果を速やかにまとめた上で,他作家との比較に展開できる体制を整えていく必要がある。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究の計画については,2024年に提出した当初の内容から変更が必要となっている。また,既に一部の内容については,研究の進捗に応じて柔軟に調整を行った。これらの変更の主な理由については,前述の進捗状況に詳述した通り,研究の実行可能性を高めるために段階的な見直しを行ったものである。 今後の研究計画としては,まず2025年10月頃までを目処に,Poems by Two Brothers(PTB)の主要な著者であるアルフレッド・テニスンおよびチャールズ・テニスンの文体的特徴を精緻に抽出・分析し,順次国内外の学会にて口頭発表を行い,その後,査読付き学術誌へ論文を投稿することを目標とする。具体的には,内容語・機能語・副詞など複数の言語的側面から文体の傾向を多角的に把握し,両者の書き手としての個性を明らかにしていく予定である。 次の段階では,明らかになった文体的特徴を用いて,PTBに収録されている著者不明作品の分析に取り組む。両著者の特徴との比較を通じて,これらの作品の執筆者が誰であるかを推定し,従来不明とされてきた著者を明らかにすることを目指す。その上で,テニスン兄弟3名によって執筆されたPTBの詩作品と,同時代に活躍した他の代表的な詩人たちの作品を比較対象とし,18-19世紀の詩的スタイルの中におけるPTBの位置づけを再検討する。 本研究成果は,国際的学会誌 Digital Scholarship in the Humanities への論文投稿を目指す。定量的手法と文学的解釈を統合した本研究は,デジタル・ヒューマニティーズ分野における新たな詩研究のモデルケースとなることを意図している。
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