本研究は、戦後日本における中国系亡命者の文芸活動について、アジアにおける漢文による文化の歴史的コンテクスト(漢文脈)との接点という視点から明らかにすることを通じ、冷戦期のアジアの文化的ダイナミクスを解明することを目指す。本研究における問いは、「終戦に伴う地域的な規模の政治、社会構造の再編成に直面した在日中国系亡命者がもたらした文化的交流や文芸的営み、そしてその意義はいかなるものであったか」ということである。本研究は、文化的越境の視点から中国文学研究や華僑華人研究において未解明だった在日亡命者の文芸活動の全体像を明らかにし、日本・中国文学研究への知的貢献を果たすことが期待されるものである。
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