近年、国内で死者へ手紙を書き投函する場所が少なからず見られる。一般的に、ケアとは双方向的な関わりだと見なされる。しかし、死者への手紙は一方向的なものであるにもかかわらず悲嘆と向き合うひとつの方法として取り入れられており、相互的なケアとは異なるかたちで投函者の悲嘆を緩和させ得る。個人化社会という現代の状況において、なぜ死者への手紙を書き投函するのか、この行為がどのように投函者の悲嘆を緩和させ得るのかを明らかにすることにより、悲嘆の個人化とグリーフケアの見方に新たな視点を投じたい。具体的には、①参与観察、②インタビュー調査、③手紙の質的内容分析、④理論的分析を組み合わせた質的研究を行う。
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