| 研究課題/領域番号 |
24K23019
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| 研究種目 |
研究活動スタート支援
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢野 武尊 九州大学, 工学研究院, 助教 (11001991)
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| 研究期間 (年度) |
2024-07-31 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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| キーワード | 全固体電池 / 粉体圧縮 / 構造解析 / 粒子形状 / 離散要素法 / ロールプレス / 反応輸送解析 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は全固体電池生産において最も重要なロールプレスプロセスを対象として,反応輸送-構造連成解析により電極構造の形成メカニズムを解明し,電極層の構造特性と物質輸送効率の相関関係を決定する鍵因子を明らかにする。新規材料開発が活発な全固体電池研究の分野において,本研究は粉体工学の観点から圧縮プロセスを改善し,様々な粉体特性を持つ材料に適用可能な知見を得るという点で新規性と独自性がある。
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| 研究実績の概要 |
本研究では、全固体電池のロールプレスプロセスを対象として、電極構造の形成メカニズムと、電極層の機械的特性と物質輸送効率の相反関係を決定する鍵因子の解明を目的としている。 初年度は、離散要素法により圧縮圧力、粒子径分布、粒子形状が初期の電極構造に与える影響を評価した。 まず、圧縮圧力を変化させたところ、粉体層が高密度化するにしたがって屈曲率が低下することがわかった。この結果は実験とも類似した傾向であり、十分に予想できる結果であった。 さらに、粒子径分布を変化させて電極層を作製し、実際のプロセス同様に平板圧縮した。得られた電極層に対して最短経路探索をすることで、電極層内部のイオン伝導経路を評価した。バルクのイオン伝導度で除することで屈曲度により電極層を評価した。その結果、粉体層に粗大粒子が含まれる場合、大粒子が小粒子をつなぐバイパスとしての役割を果たし、屈曲度が小さくなることが定量的に明らかとなった。これは実験結果とも傾向が一致しており、離散要素法により得た電極構造と、最短経路探索による屈曲度の評価が妥当であることが新たに明らかとなった。 また、粒子の形状を変化させ、粒子間の接触への影響を調査した。離散要素法において、多粒子法を用いて粒子の形状を再現し、粉体層を充填したのち、平板圧縮をした。その後、電極層内部の接触の頻度分布、接触面積、接触角の頻度分布を評価した。球形粒子ではおおよそ等方的に接触していたのに対して、板状粒子では明確に接触異方性を示し、粒子の形状と接触状態の定量的な関係性を示すことができた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた離散要素法による粒子径分布、粒子形状、圧縮圧力が電極層の機械的・幾何学的特性に与える影響について十分に明らかとすることができた。しかし、計画以上の進展はなかった。ここからは、さらに電気化学的な評価に焦点を当てた検討を進める予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究では、離散要素法によって得られた電極内部構造に対し、電気化学反応-輸送解析モデルを適用することで、電極内のLiイオン濃度分布および電位分布の解析を実施する予定である。電極内部の屈曲率および物質輸送特性を定量的に評価する。この結果を実験結果と比較することで、理論的検討を深化させることが可能となる。さらに、構造解析によって得られる構造パラメータと物質輸送特性の関係性を明確化し、カレンダリングプロセスにおける鍵因子を特定する。また、ラボスケールでは確認できないスケール効果を考慮するため、共同研究先でのパイロットスケールのカレンダリング装置を活用し、実証実験を実施する。数値解析で特定された鍵因子に着目し、電極を作製後、接着強度、細孔径分布、電気抵抗、充放電特性を網羅的に評価する。さらに、セル断面の観察と画像解析を通じて、混合均一性を定量的に検証する。これら数値解析と実験検証を連携させることで、カレンダリングプロセスにおける電極層の機械的特性と物質輸送効率の相反関係を明らかにする。最終的には、理想的な電極設計指針を提案するとともに、実験と連携した妥当性検証により、その実用性と有効性を裏付けることを目指す。
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