不正咬合は清掃不良や力学的負荷により歯の喪失リスクを上昇させる。不正咬合改善のため矯正治療が必要な患者の年齢は多岐に渡るが、加齢により歯槽骨量が減少した高齢者の矯正治療では、歯の移動が困難となり妥協的な治療を強いられたり、治療後の安定性が損なわれたりと、診断・治療に苦慮する。骨細胞は骨構成細胞の中で最も大きな割合を占める細胞種であり、サイトカイン分泌や細胞間接着を介して骨の吸収と形成をコントロールしていることが知られているが、加齢性歯槽骨吸収における役割は不明である。そこで本研究は、加齢による骨細胞の変化と歯槽骨吸収との関連性を調べ、加齢性歯槽骨吸収のメカニズムを明らかとすることを目的とする。
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