研究課題
特別研究員奨励費
秦漢帝国以来、中国の君主は「皇帝」と「天子」の称号を用いた。ただ、「皇帝」が中国固有のものであるのに対し、「天子」は東部ユーラシア諸国に共通する君主号であるとの指摘も近年では行われている。たとえば、匈奴や突厥は独自の君主号である「単于」や「可汗」以外にも「天子」の称号を用い、中国社会と遊牧社会を統合した北魏や唐の君主は、「皇帝」と「可汗」を兼ねた上で「天子」をも称した。本研究では、従来の王権研究ではほとんど言及されてこなかった1~3世紀の〈南匈奴国〉〈遼東公孫氏政権〉などの王権認識にも注目しつつ、各国の王権の性格を通じて、1~5世紀の東部ユーラシアに共通の世界認識を解明することを目的とする。