他者の心的状態を共有・理解し、それに応じるシステムである共感性は、人間社会における他者との協働や共生に必須である一方、心的疲労などの負の結果をもたらすことがある。それにより生じ得る社会的コストの低減を目指す上で、共感性に関する知見の深化が必要である。本研究は、より多くの知覚・認知処理資源を必要とし、資源配分に関する葛藤も生じやすいと考えられる状況として、複数他者とのコミュニケーション場面に着目することでこれに挑む。複数他者の顔表情に対する潜在的な知覚・認知処理過程とその個人差、およびそれらの神経基盤を、脳波・事象関連電位や機能的磁気共鳴画像法を用いて明らかにすることを目指す。
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