鳥類は陸上四足動物の中で最も繁栄したグループのひとつであり、その優れた飛翔能力によって全地球的な生息域を実現する動物群である。現生鳥類に見られるはばたき飛翔は、大胸筋と烏口上筋という二つの胸筋の働きによって生み出される。その際、烏口上筋が翼を振り上げる作用を生み出す上で、烏口骨に発達する突起構造である肩峰烏口突起が重要な役割を果たす。本研究では、ニワトリ胚における烏口骨周辺の形態形成過程に関する観察および摂動実験を行うとともに、突起を持たないダチョウ胚・ヤモリ胚との比較を行うことで、鳥類の進化過程で生じた肩部筋骨格系の形態形成メカニズムにおける変更点を推定する。
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