カラマツソウ属アキカラマツThalictrum minus は,日本全国の海岸から高山に至るまでの多様な環境に生育している.本種は形態的な変異が大きい分類群で,国内では5 変種が認識されている.従来,アキカラマツは風媒花とされていたが,予備調査からは虫媒花である可能性が示唆された.さらに本種では,葯のサイズを含む複数の花形態特徴が地域集団間で異なっており,集団間で風媒花から虫媒花へのシフトが起こっている可能性が示唆された.そこで,本研究は広義アキカラマツにおける風媒・虫媒の送粉様式のシフトと花の形態形質の関係を明らかにすることを目的にする.
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