「構造保存型数値計算法」は,偏微分方程式がなす系の数理構造(たとえば勾配流における勾配構造など)を離散系でも保持することで,古典的な計算法よりも安定性や解の定性的挙動(たとえば勾配流でのエネルギー保存・散逸など)の意味で遥かに優れた算法を構成するものである.離散変分導関数法(DVDM)を筆頭に統一的な理論を志す様々な算法が考案されているが,その理論解析はあまり進んでおらず,多くの算法は数学的な保証のないまま動かされている.本研究ではこの点を問題視し,これまで散発的・個別的ではありながら存在した先行理論研究の論法を整理・発展させ,体系的な数学解析の枠組を作ることを目指している.
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