本研究では、ヒトや動物のグリオーマの発生メカニズムは共通しており、グリオーマの由来は神経幹細胞であるという大きな仮説をもとに研究を行う。フレンチブルドッグなどの短頭種では、希突起膠細胞腫が好発し、脳室直下に生じることが多い。このことから、脳室直下に存在する神経幹細胞プールである脳室下帯との関連が示唆される。この点に着目し、申請者は、短頭種では脳室下帯の神経幹細胞に特定の遺伝子異常が生じやすく、これが神経膠腫の前癌病変になると考えた。本研究では短頭種や他犬種の脳組織およびグリオーマ組織を用い、特定の遺伝子変異や腫瘍細胞の増殖に関わるシグナル分子の解明を通じて、仮説の証明を試みる。
|