幕末から明治初期の日本には、西洋から大量の新知識・文物がもたらされ、それらを表す新しい漢語(近代漢語)が次々と生まれた。その中には、ある学問分野において専門語として成立したものが多く存在するが、同じ形の漢語が複数の専門分野で専門語として用いられたり、一般語として用いられたりすることがある。本研究では、翻訳資料が多く見られる明治初期の教科書を資料として活用しながら、そのような近代漢語の語誌の記述を蓄積する。そして、その成果をもとに、専門語として成立した近代漢語の発生と展開の実態を体系的に解明する。
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