電子のスピン自由度を積極的に活用した技術であるスピントロニクスが盛んに研究されるなか、キラリティ誘起スピン選択性(CISS)と呼ばれる現象が注目を集めている。CISSとは、DNAのようならせん状のキラル物質を通過した電子のスピンが、物質のキラリティに応じて偏極する現象のことである。CISSの理論に関する先行研究はいくつかあるが、そのどれも実験事実を説明することはできておらず、巨大なスピン偏極に寄与する物質パラメタ等も明らかにされていない。そこで本研究では、CISSの仕組みを角運動量をもつフォノンであるキラルフォノンを用いて微視的に明らかにする。
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