中高緯度の西太平洋沿岸域の古気候の記録は熱帯・亜熱帯よりも不足している。その理由は、サンゴのような高時間解像度かつ長寿命のモデル生物が本沿岸域に存在しなかったためである。本研究では長寿二枚貝ビノスガイに注目し、完新世と間氷期という2つの温暖な時代において、西太平洋沿岸域の気候変動がどのような周期性や強度を持ち海洋環境がどのように変化したかの履歴を明らかにする。二枚貝類の貝殻の断面の成長線から気候変動の年表を作成する、「スクレロクロノロジー」と呼ばれる手法は日本では黎明期である。本研究はスクレロクロノロジーと地球化学分析を組み合わせ、高時間解像度かつ長期間の気候変動履歴の復元を目指す。
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