研究課題
特別研究員奨励費
従来、日本における福祉国家の小ささは雇用が代替的に機能してきたからであると考えられてきた。また、その結果としてケア提供の観点からは男性稼ぎ主型雇用レジームと呼ばれる女性によるインフォーマルなケア提供が公的な福祉提供を抑制することを可能にしたと論じられている。本研究は、このような脱家族化の要請に対し医療が(狭義の医療に限られない)ケアのニーズを吸収してきた事実を指摘し、さらに、その結果として日本における特殊な医療体制が成立したことを議論する。すなわち日本においては医療が福祉を吸収したのである。