明治期の日本における法制度の形成には、条約改正や国際会議といった国際的要因が大きく作用しているが、海事法は、多国間の航海を法律の対象とするが故に国際的な統一性が強く、また明治期の主要な海員の多くが外国人だったこともあり、国際的要因の影響が非常に強い法領域である。 本研究においては、海事公法・海事私法・海事国際法の全てを包含する「海上法律」という同時代的な枠組みに準拠しつつ、海事法の国際的性質が如実に現れた事例を中心に、これら三分野を網羅的に分析することで、明治国家の形成過程を政治/外交の両面から解明するとともに、海事法の国際的性質に着目した海事法制史の新たな枠組みを創出することを目指す。
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