いくつかの脊椎動物系統は頭蓋キネシスと呼ばれる機構を有している。頭蓋キネシスは、頭部を構成する各骨間が靭帯や軟骨といった軟組織を介して可動的に結合することで関節を形成し、頭骨全体に可動性をもたらす機構のことである。頭蓋骨間に生じる関節の数や位置はさまざまであることから、頭蓋キネシスを生み出す関節部は各系統で独立して獲得されたと考えられるが、なぜ頭蓋キネシスがそれほど多様化しているのかについてはよくわかっていない。本研究では、複数の脊椎動物系統を対象として頭骨に生じる関節の形成様式を分子・細胞レベルで詳細に比較することで、多様な頭蓋キネシスの成立機構の解明を目指す。
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